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thinkものづくりセミナー第1回  内と外をつなぐ開口部 アルミサッシ編

日本設計 本社オフィス 都市のようなワークプレイス

日本設計 本社オフィス 新しいワークプレイスの在り方

IDEAS

Report
Design Insights ~もっと建築が楽しくなる~
都市空間と自然に調和する超高層ビル
「Design Insights ~もっと建築が楽しくなる~」は、日本設計が携わった建築物において、設計担当者らのこだわったポイントを紹介するコーナーです。今回は、超高層複合ビルの赤坂インターシティAIR(東京都港区)をご紹介します。 撮影/川澄・小林研二写真事務所 地下鉄溜池山王駅9番出口を地上に出ると、首都高速越しに赤坂インターシティAIRが見えます。このビルはちょっと変わった建ち方をしています。一般的には、不整形の土地でも最も効率的な場所に四角い建物を配置しますが、赤坂インターシティAIRでは、隣接するビルとの見合いを避け、北側の日影を最小限にするなど、周辺への配慮を重ね、敷地の北西側(首都高速側)に出来るだけ寄せて不整形な敷地に馴染ませるようなかたちで計画しました。設計を担当した第2建築設計群の真崎英嗣は、「そうした計画の結果、四面四角のビルとは異なるとてもやさしい表情となり、南東側には都心とは思えないほどの大きな緑地が広がっています」と話します。     外装デザインにも多くの工夫があります。高層部外装のオフホワイトの縦フィンは日射を制御する役割があり、かつ室内の自然換気を促す仕組みを持たせています。またフィンの付け根の部分には、3.6mピッチでゴンドラレールが隠されていて、ゴンドラはこれをガイドにして上下しています。ゴンドラレールがない部分には自然換気の機構が組み込まれています。フィンのもうひとつの特徴は、方位や向きによって出寸法が異なることです。日差しの強い方角の面は深く、眺望良い面は浅くしており、それらが切り替わるRの部分は曲率に合わせて3種類のフィンを使うことでより滑らかな外観になっているのです。 ゴンドラで外装を清掃する様子 R部分は曲率に合わせて3種類のフィンを使用 撮影/川澄・小林研二写真事務所     窓周りの熱負荷対策 カーテンウォールとゴンドラレールのスタディ 3種類の外装縦フィンのスタディ 赤坂インターシティAIRの緑地側は、オフィスと背中合わせに住宅があります。高層部のオフィスが縦フィンで覆われているのに対し、住宅は南側全面にバルコニーがあり、また周辺建物が横基調のデザインであることから、住宅部分および高層部の一部の外装は水平ルーバーで構成しました。ルーバーの断面形状は、葉っぱのようなかたちになっています。これは、雨だれを切る、雪を内側に落とす、清掃を考慮した透け感と存在感を両立する見つけ幅、コスト、という観点から導き出されたデザインです。「特に、遠景から見た時の透け過ぎない存在感と内部から見た時の閉塞感を感じさせない透け感は良い感じに両立できたと思います」(真崎) 緑地から見た住宅部分の水平ルーバー   撮影/川澄・小林研二写真事務所 モックアップにおける端部検討 様々な事象に配慮したルーバー断面形状 低層部は、親しみやすい空間とするためにやきものを多用しました。緑地の中はハンドメイドのレンガタイル、高層建物の直下はレンガ中空積みと組み合わせた大判タイル、六本木通り側はテラコッタルーバーというように、空間・居場所の特性に応じて使い分けています。凸凹のあるハンドメイドタイルは時間の経過とともにより一層、緑の中に馴染んできています。床のヘリンボーン張りも、壁の凸凹レンガタイルもどれも職人さんが手作業で仕上げました。 実は、テラコッタルーバーのデザインには秘密が隠されています。「『AKASAKA』といった所在地名や赤坂インターシティAIRの所在地の郵便番号をバーコード化したものをベースにしています。チームメンバーの発案ですが、未来の人へのメッセージみたいで、おもしろいですよね(笑)」(真崎)   やきものを多用した低層部 撮影/川澄・小林研二写真事務所 凹凸のあるハンドメイドタイル   緑と馴染むハンドメイドタイルと高層部形状に合わせた大判タイル ヘリンボーン貼りの床タイル   緑と馴染むハンドメイドタイルと高層部形状に合わせた大判タイル 撮影/川澄・小林研二写真事務所 「AKASAKA」などの地名をバーコード化したものをベースにデザインしたテラコッタルーバー   オフィスゾーンはセキュリティが掛かっていますが、1階や地下1階の飲食店はもちろん、2階のロビー・ラウンジや3階のプライムリブ専門店はどなたでも入れることができます。2階のEVホールは壁に緑が映り込み、天井は天空光のように明るく、外との連続性を意識した空間となっています。そして特におすすめの場所が、EVホールの奥にある2階の緑地に面したラウンジです。くつろげる場所として多くの人に親しまれており、イベントの開催にも利用されています。「床の色は、赤坂の『赤』で、昭和のスナック(笑)をイメージしています。床に赤を使うのは勇気がいるのですが、各国の大使館が並ぶ土地柄、ミッドセンチュリーな設えが映えると考え、採用しました」(真崎)。床・壁・柱にはそれぞれ異なる石材を使っています。柱は美しい大理石の正円柱ですが、この加工は日本国内の限られた工場でしかできません。「関係者間で、目指すクオリティが共有できた時にこうした仕事が形になるのだと思います」(真崎) 緑や白いチェアが映えるラウンジ 撮影/川澄・小林研二写真事務所(写真左) 大理石の加工の様子 緑が映り込むエレベーターホール 撮影/川澄・小林研二写真事務所   最後に、冒頭で説明した緑地を紹介します。5,000㎡超の緑地には、200種類以上の中高木や低木、草花によって、まるで「森」のような風景が広がっています。赤坂インターシティAIRの緑地では、均等に枝の張った木を画一的に並べるのではなく、樹木を一本ずつ選び、隣り合う木との組み合わせを考えながら植え込むことで、自然の里山を再現することを目指しました。また、自然に倣った剪定を行うことで、森林の風景に近づけています。 ランドスケープ・都市基盤設計部の山崎暢久は「まるで野山を散策しているような気分に浸れます。隣り合う樹々の関係を注意深く観察すると、場所を譲りながらうまく調和していることがわかります」と話します。 5,000㎡超の緑地 撮影/川澄・小林研二写真事務所   お手入れで剪定した枝をご自由にお持ち帰りいただける 「おすそ分け会」を毎月第2水曜日に開催しています。   特記なき撮影:日本設計広報室
Report
訪ねてもらいたい─多様な要素を紡ぐ力強い空間【前編】
今回は入社4年・2年目の日本設計社員3名が「いわて県民情報交流センター アイーナ(以下、アイーナ)」と、「岩手県立美術館(以下、IMA)」を訪ねました。どちらも2000年代前半に完成した岩手県盛岡駅近くの文化施設です。明快な構成ならではの空間の力強さと、それを形作るさまざまな要素の統合をレポートします。 アイーナ前にてレポーターの3名。写真左から、鈴木 遥子(第1環境・設備設計群)、秋田 飛蕗(構造設計群)、小林 嵩史(インテグレイテッドデザイン部)。       ダイナミックで明快な空間構成 盛岡駅西口を出てすぐ、駅前にカーブするガラスの外観が特徴のアイーナが現れます。 盛岡駅側から見たアイーナ全景(竣工当時)。©木田勝久 木田写真事務所 盛岡駅西口地区の拠点整備の一環として平成12年に公募型プロポーザルが開催され、当社案に選定されました。その後、平成18年5月にオープンしました。 メインエントランスは盛岡駅西口広場に面した人工地盤レベル(3階)にあります。中に入ってまず目に飛び込んでくるのは、トップライトから光が注ぐ9階まで吹抜けのアトリウム空間です。 アトリウム内観のスケッチ。   小林:3層構成のゾーニングとなっており、低層部に既存市街地から移転された県立図書館の機能、パスポートセンター・運転免許センターなど行政サービス、中層部に国際交流センター・ギャラリー・プラザなど活動や展示を主体とする機能、高層部にホール・県立大学・会議室などを配置し、それぞれを「知」「楽」「学」の空間と位置づけています。 明確なゾーニングも特徴ですが、利用者がそれぞれの目的で居場所を選択できる、共用部の豊かさも魅力的です。 図書館内、3階と4階をつなぐ階段。 鈴木:図書館の中でも、席を選ぶ楽しさがありますね。新聞を読みに来る方や、自習をする学生さんなど、様々な方で賑わっているそうです。 防災・東日本大震災関連資料の閲覧スペース。 秋田:以前は視聴覚系の資料の閲覧スペースが、現在は防災や東日本大震災関連の資料の閲覧スペースとなっています。このスペースの使われ方のほか、照明のLED化など多少の変更はあるものの、竣工から20年近く経った今でも建築の使われ方の大きな変更はないそうです。 竣工から20年の間には東日本大震災もありました。アイーナは震災後、電気の供給がないなかでも自家発電設備により2日間は建物の機能を維持することができた、というお話が印象的でした。1週間程度、避難所として自主的に開放されたそうです。 児童書コーナー。               自動化書庫システムを導入している圧巻の閉架書庫! 鈴木:図書館は岩手県でも最大規模の閉架書庫を持っており、3・4階の開架フロアに並ぶ書籍は全体の約16%とのことです。 小林:4階新聞雑誌コーナーの天井をガラスとしているのも特徴です。エスカレーターの移動時や、上階の様々な場所から図書館の様子を見ることができます。 新聞・雑誌系閲覧スペース。 7階からガラス天井越しに4階の図書館を見下ろす。 小林:アプローチレベルから連続するひな壇状の構成となっており、吹抜け内のシースルーエレベーターや中央を縦断する象徴的なエスカレーターが縦動線となっています。分かりやすい空間構成なだけでなく、見上げ、見下げといった視線が交差する立体的な動線がドラマティックです。 アトリウムを見下ろす。中央を縦断するエスカレーター。 アトリウム。様々なレベルに視線が抜ける。 ダイナミックな空間を成り立たせる構造 コア内部のダンパーも見学。 秋田:全体はラーメン架構(一部ブレース付き)ですが、ダイナミックなアトリウムを創出するために、主要構造体に加え様々な構造的工夫があります。 コンクリート充填鋼管(CFT)柱と鉄骨梁、オイルダンパーにより構成された7.2×7.2mのコアが6箇所設けられており、オイルダンパーを設置した制震構造で耐震性を持たせています。   さらに、大きな面積が必要な低層部の図書館と、細かく区画される会議室などが多い高層部とでは、適切なスパンモジュールが異なるので、V・Y・W字型の柱を用いて異なるスパンに対応しています。   小林:Y字柱は意匠的にも外観にリズムを作り出しています。 西側外観。©木田勝久 木田写真事務所 構造と環境設備を表すポンチ絵。     山々を望む北側の吹抜け。 鈴木:寒冷地でのガラスカーテンウォールの採用は、空調負荷が大きくなるなどのリスクもあります。ただ、カーブのついた正面外壁の向こうには、北東側に姫神山、北西側に岩手山を望めます。またアイーナからの眺望だけでなく、街からの眺望も遮らないよう考慮されており、アイーナのガラスの壁面を通して奥羽山脈も望めます。これら山々は岩手県民にとって大事な心象風景で、この眺望を守るためガラスのカーテンウォールを採用したそうです。 小林:透明度の高い開放的なカーテンウォールをつくるためガラスはDPG工法(サッシを設けず、ガラスを点で支持する工法)を採用しています。   フィーレンディールトラスとテンションブレース。 秋田:眺望を重視し、開放的な空間を実現するために、ここでも構造的な工夫があります。大スパンのため、梯子状のトラスである「フィーレンディールトラス」を用いて、応力が大きくなる両端部はテンションブレースを入れています。   環境に配慮した様々な取り組み 鈴木:寒冷地における多くの人が集まる施設で、しかもガラスで囲われた建築のため、通常では大きくなってしまう空調負荷を低減するために環境面でも様々な工夫があります。断熱型のLow-E複層ガラスを採用しているほか、大きな特徴は総延長約240m、通過風量約80,000m3/hという、当時国内最大規模のクール・ヒートトレンチです。クール・ヒートトレンチとは、地下ピットを利用した設備トレンチを通して外気を取り入れることで、年間で安定した地中熱を有効利用し、外気負荷を低減するシステムです。さらにクール・ヒートトレンチ内部の井水熱コイルによる予熱や、全熱交換器組込みの外調機の採用、CO2濃度による外気量制御を行うことで、徹底的に冬期の外気負荷を削減する計画としています。 それ以外にも、環境に配慮した取り組みを積極的に行っています。現在は環境配慮が当たり前の時代となりましたが、2000年代初頭はそのような取り組みが始まった頃だったのではないかと思います。建築主である岩手県の環境意識も高かったのではないでしょうか。 吹抜け上部のトップライト。 太陽光発電(発電量40kw)は、トップライト建材と一体型で、当時、日本では珍しいものだったそうです。2か所ある吹抜け上部のトップライトにどちらにも太陽光発電設備が備えられています。 また、「学」の空間の東西面は長時間使用する小さな居室が多いため、強化ガラス+空気層+Low-E複層ガラスで断熱を強化したダブルスキンとしています。 中間期は、ダブルスキン下部に設けられた開口部を開けることで外気を取り込み、内側のサッシの開口を通って室内からアトリウムトップライトへ自然換気を行います。夏期は手動での角度変更や開閉が可能な垂直ルーバーでの日射のコントロールに加えて、ダブルスキン上部・下部の開口部を開放して日射熱を排出することで、日射負荷を低減します。当時、垂直ルーバーを手動で角度調整でき、かつ収納することができる機構はヨーロッパでは見られたものの日本では珍しく、メーカーと協働して実現させたそうです。 6階調理実習室。 手動で角度を変えたり収納したりできる垂直ルーバー。 鈴木:太陽光発電や自然換気、日射遮蔽など、施設利用者にも自然エネルギーの利用や省エネルギーのシステムが見える、使えることは環境配慮への啓発にもなりますし、先進的な取り組みだったのではないかと思います。 意匠、環境、構造、それぞれの分野が統合されてダイナミックで明快な空間構成が成立していることを実感しました。     《後編 岩手県立美術館へ続く》
Vision
脱炭素社会の実現へ向けた建築物の木質化推進を目指した特許技術
意匠性を有した木質耐震壁 都市部に建つ建築物や、一定規模以上の建築物は耐火建築物とすることが求められます。そこで当社は、鉄骨造の柱・梁フレームに設置可能な木質材料による耐震要素を開発しました。この技術では、主要構造である柱・梁を耐火性、構造的に優れた鉄骨造とし、法規上、被覆が不要となる耐震要素を木材で構成することで、耐火建築物でも木材を意匠として活用することができます。 開発した木質耐震要素は、次の3つの特徴を備えています。  ・靭性型ハイブリッド耐震要素  ・特殊な材料・金物を使用しない設計  ・デザインの可変性が高いシステム   この技術は汎用的でありながら、デザインの可変性を持たせることで、単純かつ共通の構造システムを維持しつつ、プロジェクトごとに異なる姿を取ることができます。このため、多様な建築シーンでの活用が期待されます。   図:可変性のある木質耐震要素   図:木質耐震要素の構成   壁の性能に大きく寄与する接合部には、上下の木梁の間に鋼管リングを設置し、木材のめり込みを活かした、せん断抵抗機構です。           この接合部の性能を確認するため、まずは接合部単体での簡易な要素試験を実施し、詳細な仕様を決定しました。その後、実物大試験を行い、壁全体の性能を検証しました。実大実験は、東京大学の稲山正弘名誉教授と青木謙治教授の技術指導のもとで実施されました。 実大実験の様子   意匠性を有した市松状木質天井 大規模木造建築の普及のための新規性の高い技術として、大規模木造建築では一般的な手法である鉄筋コンクリート造との混構造を容易に成立させる、市松状の天井構造および天井支持構造を開発しました。この技術は耐震性確保と空間のフレキシビリティーの両立に優れる木造の実現を支えるものとなります。市松状に配置された天井パネルは、木の下から葉裏を見上げるようなデザインが特徴です。この技術は、中大規模木造では一般的な手法である鉄筋コンクリート造との混構造で活用でき、学校の校舎などの中大規模の建物、オフィスなどの中高層建物、住宅やそのほかにも応用が可能です。当社が設計した「流山市立おおぐろの森小学校」で実装されています。 実装例:流山市立おおぐろの森小学校 図書室   この特許である天井構造および天井支持構造は、構造としては、梁を挟む床と市松状天井が木造部分の地震力を鉄筋コンクリート造の耐震壁に伝え、木造部分の柱が鉛直力を受け持つことで柱の位置の自由度を高めることで、意匠性と空間のフレキシビリティーを両立する構造です。また、この市松状天井は、照明や防災設備の配線、天井カセット型空調機をレイアウトできるなど、意匠、構造、設備を統合したデザインが実現できます。 市松状木質天井の構成 意匠・構造・設備を統合した天井の一例     本件に関する問い合わせ先 株式会社日本設計  広報室  Tel: 050-3139-7003   Email: kouhou@nihonsekkei.co.jp

PROJECTS

NEWS

2024.12.13
ニュース
広報誌「think++magazine 10」を発行しました
広報誌「think++magazine 10」を発行しました。 特集: 2024年の取り組み セミナーレポート: thinkものづくりセミナー 未来創造: 建物の性能を診る「コミッショニング」 訪ねてもらいたい: 多様な要素を紡ぐ力強い空間 などがご覧いただけます。 PDFはこちら      
2024.12.10
ニュース
年末年始休業日のお知らせ
平素は格別のお引き立てをいただき、厚く御礼申し上げます。 当社では、下記の期間を年末年始休業とさせていただきます。 年末年始休業期間 本  社:2024年12月27日(金)午後 ~ 2025年1月5日(日) 札幌支社:2024年12月27日(金)     ~ 2025年1月5日(日) 中部支社:2024年12月27日(金)午後 ~ 2025年1月5日(日) 関西支社:2024年12月27日(金)午後 ~ 2025年1月5日(日) 九州支社:2024年12月27日(金)午後 ~ 2025年1月5日(日)
2024.12.04
ニュース
Autodeskと包括契約を更新。データドリブン設計の実践に向けた新たなステージへ
株式会社日本設計と、米国 Autodesk 社は、2024 年 10 月に、4 度目の包括契約(EBA Enterprise Business Agreement ※1)を更新しました。 両社は、2014 年9月より、次世代 BIM の実現を目指してパートナーシップを結び、建物のライフサイクルを通じて、オーナー、利用者に BIM の最大限の効果をもたらす建築、都市環境を提供すべく協業してきました。BIMの確立・構築のフェーズから実践のフェーズへ移行する中、この度の更新により、データドリブン設計の基盤構築に向け、新たなステージへの挑戦を続けてまいります。 BIMは、すでに試行・定着期から活用期に入っており、堅実な運用、実践を遂行するため、よりデータやCDE(共通データ環境)の活用が重要となっています。 すでに運用されているデジタルツールやソリューションとの連携および構築も変革期を迎え、日本設計では、次世代デジタル基盤構想(※2)のもとデータドリブン設計の実現を目指し、全社横断的に全体最適を目指したデータ活用の成功事例構築に向けて取り組んでいます。 両社は、これまでの3年間、 BIMワークフローの確立と実践を積み重ね、高品質・高効率な設計の実現を目指し、BIMとデータベース連携の構築とプロジェクト活用、DX推進とデータドリブン設計の基盤構築の準備を進めてまいりました。 今後の3年間は、さらなるDX推進に向けて、全体最適化を目指したデータドリブン設計の確立と実践に注力します。 写真左:株式会社日本設計 代表取締役社長 篠﨑 淳  写真右:オートデスク株式会社 アジアパシフィック アカウント営業本部 バイスプレジデント ルー・グレスパン 全体最適を目指したDX推進とデータドリブン設計の確立と実践 日本設計では、2022年から検討を開始しているDX推進ワーキンググループと2023年10月に設立した「情報システムデザイン部」を中心に、デジタル基盤の整備やデジタルでの設計ワークフローの再整理を行っています。この取り組みの一環として、DX推進に向けた全社横断的な体制を構築し、デジタルでのデータフローに適したプロジェクト推進の仕組みを強化しています。また、全社的な取り組みに繋がるように、マネージメント層を対象としたワークショップ開催などを通じて、DXの理解の醸成を図るとともに、データに基づいたプロジェクトマネージメントを推進しています。 Autodeskでは、オートデスク コンサルティングを通じて、日本設計の取り組みを支援しています。この支援ではBIMやDXに関する世界的な経験に基づき、Autodesk 製品や他社ソリューションを組み合わせ、データを最大限に活用するための戦略やソリューションの提案や実行支援を行います。このサービスを活用することで、現在のデータフロー評価、解決すべき課題の明確化、ソリューションの開発、ソリューションの実現可能性検証などを実施します。これにより、日本設計でのこれまでの知見をデータベースにし、プロジェクト遂行におけるデータに基づいたプロジェクトマネージメントや設計業務、品質管理の実現を加速させます。 両社は協業を通じて、BIMとデータベースを連携させることによる、全体最適を視野に入れたデータドリブンな設計手法を確立します。 ・BIMとデータベース連携による設計の効率化 ・BIMとデータベースを活用したデータプレチェックによる設計の高品質化 ・BIMを活用したトータルカーボン算出の試行・実践を通じ、エネルギー効率や環境を最適化するデザインの推進 これまでの取り組みの概要 1.BIMワークフローの実践 日本設計では、BIM本格運用に向けて、運用体制構築と社内教育を推進しています。国内においては、建築BIM推進会議を中心に国内のBIM推進が加速化し、BIM図面審査やその後に予定されているBIMデータ審査、既に開始されている官庁営繕事業でのBIM指定など、BIMを活用する社会環境が整い始めています。日本設計は、これらの環境整備に貢献するとともに、自社内での運用体制を強化し、官庁案件におけるBIM指定プロジェクトにも取り組んでいます。これらの取り組みを通じて、BIMの実践活用を着実に進めています。 また、UR都市機構との共同研究(※3)を通じて、BIMガイドラインの次の段階として、BIMのサンプルモデルやテンプレートが公開され、BIMデータの具体例も示されています。 さらに、Autodesk Construction Cloud® を活用することで、ワークフローの実運用を実践し、データ活用の効率性を一層向上させる取り組みを行っています。 2.設計の高品質化・高効率化につながるBIMの実践 日本設計では、BIMデータの有効活用を通じて、設計から維持管理・運用までの一貫した取り組みを進めています。 設計段階の分野間でのデータ連携をさらに深めることで、BIMの効率的な活用方法を模索し、具体のプロジェクトでの試行を積み重ね、実践に向けた準備を整えました。超高層建築物などの大型プロジェクトにおいても、基本設計から実施設計を通してBIM活用の実績が増えてきています。また、中小規模においては意匠・構造・設備・電気全分野でBIM活用とBIMによる成果物を作成したプロジェクトも出てきています。 さらに、実施設計でのBIM活用を積み重ね、BIMに適した成果物を見極めた上で、BIMとCADを併用する運用方針を確立しました。この方針により、設計の生産性と効率性を向上させるとともに、設計品質のさらなる向上を実現しています。 また、BIMデータの有効活用に向けて、竣工後の維持管理・運用時点でのBIM-FM(施設管理)の実践を通じて知見を積み重ねており、オフィス移転を機に本社の資産管理で活用した事例や、築20年以上経過したJRタワーでの実例もでてきています。さらには、日本設計版環境DX(※4)のデジタル基盤を活用して収集した環境センサー情報や各エリアの人数情報等のセンシングデータを、3D上にヒートマップ・グラフ表示可能なデジタルツインのAutodesk Tandem®と連携した実運用を開始しています。この内容に関するニュースはこちら これらの取り組みにより、設計段階から運用管理までを一貫して支えるデータドリブンな体制が整いつつあります。 ※1 EBA(Enterprise Business Agreement):大企業ユーザ向けの包括契約。 EBA 契約締結により、オートデスクの製品やクラウドサービス、テクノロジーを自由に切り替えて利用可能な Token Flex と呼ばれるライセンス、CSM、コンサルタントが提供される。 ※2 次世代デジタル基盤構想 : 2020年に構想され推進している日本設計のデジタル基盤の整備方針。BIMを含めた設計ツール類の設計基盤と、それを支える情報基盤の連携のあり方を、構造化データだけではなく非構造化データも含めて構築するための基盤構想。 ※3 集合住宅設計BIMガイドライン及びBIMデータ類 : 工学院大学建築学部岩村雅人教授の協力の下、独立行政法人都市再生機構(UR都市機構)と日本設計が共同して、集合住宅への BIM 導入による生産性向上に向けた研究を実施し、研究で得られた知見の成果として、集合住宅では初となる設計 BIM ガイドライン及びBIM データ類を公開したもの。 ※4 日本設計版環境DX:オフィス移転を機に働く場であるオフィスを、これからの働き方の新しい価値を発見するための試金石とするためのデジタル基盤。基盤にはデータのセンシングや管理、ワーカーとの双方向通信機能などが備えられており、本社オフィスを実験場にして計測・評価検証等ができる仕組み。
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