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thinkものづくりセミナー第1回  内と外をつなぐ開口部 アルミサッシ編

日本設計 本社オフィス 都市のようなワークプレイス

日本設計 本社オフィス 新しいワークプレイスの在り方

IDEAS

Report
RC部材のピン接合、一般化の実現へ
私たちは、建築構造における新たな可能性を追求し、RC部材(鉄筋コンクリート部材)の接合方法として広く用いられる「剛接合」に対して、「ピン接合」に挑戦しました。この手法により柱や接合部の応力を軽減し、柱サイズの縮小、接合部やスラブの配筋削減、設計の自由度向上といったメリットを実現し新たな選択肢を提供します。このディテールの開発背景とプロセス、そして成果についてご紹介します。   ピン接合のアイデアと実現 RC部材は剛接合が主流ですが、私たちはPCa柱(プレキャストコンクリート柱)とRCスラブを「ピン接合」とすることで、接合部にかかる応力を軽減するアイデアを実現しました。このアイデアは、2018年に竣工した伊予市本庁舎の設計過程で生まれたものです。当初、剛接合での検討を進めていましたが、地震時の応力集中によりスラブの配筋が過剰となっていました。そこで、柱頭部に円筒形コッターを設け、硬質ゴムシートで部材間の縁を切ることにより、応力伝達を無くすピン接合の発想が生まれました。 同庁舎は免震構造を採用しているため層間変形角が小さく、構造性能評価を通して本ディテールの採用が認められましたが、私たちは通常の耐震構造にも活用できるディテールの一般化を目指し、株式会社建研の協力を得て、実験と改良を重ねました。 伊予市本庁舎 撮影/川澄・小林研二写真事務所   伊予市本庁舎で採用したピン接合のディテール   実験と改良で課題を克服 ピン接合のディテールの有効性を検証するため、伊予市本庁舎のディテールを基に実大試験を実施した結果、剛接合時に比べて剛性が1/20まで低減され、免震構造のように層間変形角が小さい状態においてはピン接合として機能することが確認されました。一方で、層間変形角が大きくなるとコッター部分が破損する課題も明らかになりました。 接合部の実大試験 大変形時のコッター部の破損状況   この課題を克服するために、コッターの形状や硬質ゴムの仕様などを詳細に検討し、回転性能の向上を試みました。数多くの検証を行うため、東京電機大学の協力の下、軽量な木の試験体を使った性能確認試験で複数案の回転剛性を比較検討し改良を重ねました。 木の試験体を使った性能確認試験 木の試験体から得られた結果を基に、最終的に円錐台形のコッターを考案し、改めてコンクリートの実大試験体を製作して回転性能を確認しました。当初の形状では大変形時にコッターが破損していましたが、今回の試験ではその問題は発生せず課題を克服したことが確認されました。   建築技術性能証明の取得 これら3回の試験を経て、2024年1月、日本建築総合試験所(GBRC)から建築技術性能証明を取得しました。これによりディテールの一般化が実現し、免震構造に限らず通常の耐震構造の建物への適用が可能となりました。適用条件として「柱軸力が200kN以下」「本接合部の上階に柱は接続しない」などを定めていますが、これらを満たすことで多くの建物での活用が可能となります。 また、解析の結果、剛接合と比べて柱頭の曲げモーメントが約92%低減することが確認されています。構造解析上ピン接合として扱うことができるため、設計方法はよりシンプルになります。このディテールの採用により、柱サイズの縮小が可能となり、意匠設計の自由度も広がります。 一般化が実現したピン接合の円錐台形コッター   本開発は、多くの関係者の協力と地道な改善の積み重ねによって実現しました。この技術は建築設計に新たな可能性をもたらし、今後さらに多くの建物で採用されることを目指しています。
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Design Insights ~もっと建築が楽しくなる~
都市空間と自然に調和する超高層ビル
「Design Insights ~もっと建築が楽しくなる~」は、日本設計が携わった建築物において、設計担当者らのこだわったポイントを紹介するコーナーです。今回は、超高層複合ビルの赤坂インターシティAIR(東京都港区)をご紹介します。 撮影/川澄・小林研二写真事務所 地下鉄溜池山王駅9番出口を地上に出ると、首都高速越しに赤坂インターシティAIRが見えます。このビルはちょっと変わった建ち方をしています。一般的には、不整形の土地でも最も効率的な場所に四角い建物を配置しますが、赤坂インターシティAIRでは、隣接するビルとの見合いを避け、北側の日影を最小限にするなど、周辺への配慮を重ね、敷地の北西側(首都高速側)に出来るだけ寄せて不整形な敷地に馴染ませるようなかたちで計画しました。設計を担当した第2建築設計群の真崎英嗣は、「そうした計画の結果、四面四角のビルとは異なるとてもやさしい表情となり、南東側には都心とは思えないほどの大きな緑地が広がっています」と話します。     外装デザインにも多くの工夫があります。高層部外装のオフホワイトの縦フィンは日射を制御する役割があり、かつ室内の自然換気を促す仕組みを持たせています。またフィンの付け根の部分には、3.6mピッチでゴンドラレールが隠されていて、ゴンドラはこれをガイドにして上下しています。ゴンドラレールがない部分には自然換気の機構が組み込まれています。フィンのもうひとつの特徴は、方位や向きによって出寸法が異なることです。日差しの強い方角の面は深く、眺望良い面は浅くしており、それらが切り替わるRの部分は曲率に合わせて3種類のフィンを使うことでより滑らかな外観になっているのです。 ゴンドラで外装を清掃する様子 R部分は曲率に合わせて3種類のフィンを使用 撮影/川澄・小林研二写真事務所     窓周りの熱負荷対策 カーテンウォールとゴンドラレールのスタディ 3種類の外装縦フィンのスタディ 赤坂インターシティAIRの緑地側は、オフィスと背中合わせに住宅があります。高層部のオフィスが縦フィンで覆われているのに対し、住宅は南側全面にバルコニーがあり、また周辺建物が横基調のデザインであることから、住宅部分および高層部の一部の外装は水平ルーバーで構成しました。ルーバーの断面形状は、葉っぱのようなかたちになっています。これは、雨だれを切る、雪を内側に落とす、清掃を考慮した透け感と存在感を両立する見つけ幅、コスト、という観点から導き出されたデザインです。「特に、遠景から見た時の透け過ぎない存在感と内部から見た時の閉塞感を感じさせない透け感は良い感じに両立できたと思います」(真崎) 緑地から見た住宅部分の水平ルーバー   撮影/川澄・小林研二写真事務所 モックアップにおける端部検討 様々な事象に配慮したルーバー断面形状 低層部は、親しみやすい空間とするためにやきものを多用しました。緑地の中はハンドメイドのレンガタイル、高層建物の直下はレンガ中空積みと組み合わせた大判タイル、六本木通り側はテラコッタルーバーというように、空間・居場所の特性に応じて使い分けています。凸凹のあるハンドメイドタイルは時間の経過とともにより一層、緑の中に馴染んできています。床のヘリンボーン張りも、壁の凸凹レンガタイルもどれも職人さんが手作業で仕上げました。 実は、テラコッタルーバーのデザインには秘密が隠されています。「『AKASAKA』といった所在地名や赤坂インターシティAIRの所在地の郵便番号をバーコード化したものをベースにしています。チームメンバーの発案ですが、未来の人へのメッセージみたいで、おもしろいですよね(笑)」(真崎)   やきものを多用した低層部 撮影/川澄・小林研二写真事務所 凹凸のあるハンドメイドタイル   緑と馴染むハンドメイドタイルと高層部形状に合わせた大判タイル ヘリンボーン貼りの床タイル   緑と馴染むハンドメイドタイルと高層部形状に合わせた大判タイル 撮影/川澄・小林研二写真事務所 「AKASAKA」などの地名をバーコード化したものをベースにデザインしたテラコッタルーバー   オフィスゾーンはセキュリティが掛かっていますが、1階や地下1階の飲食店はもちろん、2階のロビー・ラウンジや3階のプライムリブ専門店はどなたでも入れることができます。2階のEVホールは壁に緑が映り込み、天井は天空光のように明るく、外との連続性を意識した空間となっています。そして特におすすめの場所が、EVホールの奥にある2階の緑地に面したラウンジです。くつろげる場所として多くの人に親しまれており、イベントの開催にも利用されています。「床の色は、赤坂の『赤』で、昭和のスナック(笑)をイメージしています。床に赤を使うのは勇気がいるのですが、各国の大使館が並ぶ土地柄、ミッドセンチュリーな設えが映えると考え、採用しました」(真崎)。床・壁・柱にはそれぞれ異なる石材を使っています。柱は美しい大理石の正円柱ですが、この加工は日本国内の限られた工場でしかできません。「関係者間で、目指すクオリティが共有できた時にこうした仕事が形になるのだと思います」(真崎) 緑や白いチェアが映えるラウンジ 撮影/川澄・小林研二写真事務所(写真左) 大理石の加工の様子 緑が映り込むエレベーターホール 撮影/川澄・小林研二写真事務所   最後に、冒頭で説明した緑地を紹介します。5,000㎡超の緑地には、200種類以上の中高木や低木、草花によって、まるで「森」のような風景が広がっています。赤坂インターシティAIRの緑地では、均等に枝の張った木を画一的に並べるのではなく、樹木を一本ずつ選び、隣り合う木との組み合わせを考えながら植え込むことで、自然の里山を再現することを目指しました。また、自然に倣った剪定を行うことで、森林の風景に近づけています。 ランドスケープ・都市基盤設計部の山崎暢久は「まるで野山を散策しているような気分に浸れます。隣り合う樹々の関係を注意深く観察すると、場所を譲りながらうまく調和していることがわかります」と話します。 5,000㎡超の緑地 撮影/川澄・小林研二写真事務所   お手入れで剪定した枝をご自由にお持ち帰りいただける 「おすそ分け会」を毎月第2水曜日に開催しています。   特記なき撮影:日本設計広報室
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訪ねてもらいたい─多様な要素を紡ぐ力強い空間【前編】
今回は入社4年・2年目の日本設計社員3名が「いわて県民情報交流センター アイーナ(以下、アイーナ)」と、「岩手県立美術館(以下、IMA)」を訪ねました。どちらも2000年代前半に完成した岩手県盛岡駅近くの文化施設です。明快な構成ならではの空間の力強さと、それを形作るさまざまな要素の統合をレポートします。 アイーナ前にてレポーターの3名。写真左から、鈴木 遥子(第1環境・設備設計群)、秋田 飛蕗(構造設計群)、小林 嵩史(インテグレイテッドデザイン部)。     ダイナミックで明快な空間構成 盛岡駅西口を出てすぐ、駅前にカーブするガラスの外観が特徴のアイーナが現れます。 盛岡駅側から見たアイーナ全景(竣工当時)。©木田勝久 木田写真事務所 盛岡駅西口地区の拠点整備の一環として平成12年に公募型プロポーザルが開催され、当社案に選定されました。その後、平成18年5月にオープンしました。 メインエントランスは盛岡駅西口広場に面した人工地盤レベル(3階)にあります。中に入ってまず目に飛び込んでくるのは、トップライトから光が注ぐ9階まで吹抜けのアトリウム空間です。 アトリウム内観のスケッチ。   小林:3層構成のゾーニングとなっており、低層部に既存市街地から移転された県立図書館の機能、パスポートセンター・運転免許センターなど行政サービス、中層部に国際交流センター・ギャラリー・プラザなど活動や展示を主体とする機能、高層部にホール・県立大学・会議室などを配置し、それぞれを「知」「楽」「学」の空間と位置づけています。 明確なゾーニングも特徴ですが、利用者がそれぞれの目的で居場所を選択できる、共用部の豊かさも魅力的です。 図書館内、3階と4階をつなぐ階段。 鈴木:図書館の中でも、席を選ぶ楽しさがありますね。新聞を読みに来る方や、自習をする学生さんなど、様々な方で賑わっているそうです。 防災・東日本大震災関連資料の閲覧スペース。 秋田:以前は視聴覚系の資料の閲覧スペースが、現在は防災や東日本大震災関連の資料の閲覧スペースとなっています。このスペースの使われ方のほか、照明のLED化など多少の変更はあるものの、竣工から20年近く経った今でも建築の使われ方の大きな変更はないそうです。 竣工から20年の間には東日本大震災もありました。アイーナは震災後、電気の供給がないなかでも自家発電設備により2日間は建物の機能を維持することができた、というお話が印象的でした。1週間程度、避難所として自主的に開放されたそうです。 児童書コーナー。               自動化書庫システムを導入している圧巻の閉架書庫!   鈴木:図書館は岩手県でも最大規模の閉架書庫を持っており、3・4階の開架フロアに並ぶ書籍は全体の約16%とのことです。 小林:4階新聞雑誌コーナーの天井をガラスとしているのも特徴です。エスカレーターの移動時や、上階の様々な場所から図書館の様子を見ることができます。 新聞・雑誌系閲覧スペース。 7階からガラス天井越しに4階の図書館を見下ろす。 小林:アプローチレベルから連続するひな壇状の構成となっており、吹抜け内のシースルーエレベーターや中央を縦断する象徴的なエスカレーターが縦動線となっています。分かりやすい空間構成なだけでなく、見上げ、見下げといった視線が交差する立体的な動線がドラマティックです。 アトリウムを見下ろす。中央を縦断するエスカレーター。 アトリウム。様々なレベルに視線が抜ける。   ダイナミックな空間を成り立たせる構造 コア内部のダンパーも見学。 秋田:全体はラーメン架構(一部ブレース付き)ですが、ダイナミックなアトリウムを創出するために、主要構造体に加え様々な構造的工夫があります。 コンクリート充填鋼管(CFT)柱と鉄骨梁、オイルダンパーにより構成された7.2×7.2mのコアが6箇所設けられており、オイルダンパーを設置した制震構造で耐震性を持たせています。   さらに、大きな面積が必要な低層部の図書館と、細かく区画される会議室などが多い高層部とでは、適切なスパンモジュールが異なるので、V・Y・W字型の柱を用いて異なるスパンに対応しています。   小林:Y字柱は意匠的にも外観にリズムを作り出しています。     西側外観。©木田勝久 木田写真事務所 構造と環境設備を表すポンチ絵。     山々を望む北側の吹抜け。 鈴木:寒冷地でのガラスカーテンウォールの採用は、空調負荷が大きくなるなどのリスクもあります。ただ、カーブのついた正面外壁の向こうには、北東側に姫神山、北西側に岩手山を望めます。またアイーナからの眺望だけでなく、街からの眺望も遮らないよう考慮されており、アイーナのガラスの壁面を通して奥羽山脈も望めます。これら山々は岩手県民にとって大事な心象風景で、この眺望を守るためガラスのカーテンウォールを採用したそうです。 小林:透明度の高い開放的なカーテンウォールをつくるためガラスはDPG工法(サッシを設けず、ガラスを点で支持する工法)を採用しています。   フィーレンディールトラスとテンションブレース。 秋田:眺望を重視し、開放的な空間を実現するために、ここでも構造的な工夫があります。大スパンのため、梯子状のトラスである「フィーレンディールトラス」を用いて、応力が大きくなる両端部はテンションブレースを入れています。   環境に配慮した様々な取り組み 鈴木:寒冷地における多くの人が集まる施設で、しかもガラスで囲われた建築のため、通常では大きくなってしまう空調負荷を低減するために環境面でも様々な工夫があります。断熱型のLow-E複層ガラスを採用しているほか、大きな特徴は総延長約240m、通過風量約80,000m3/hという、当時国内最大規模のクール・ヒートトレンチです。クール・ヒートトレンチとは、地下ピットを利用した設備トレンチを通して外気を取り入れることで、年間で安定した地中熱を有効利用し、外気負荷を低減するシステムです。さらにクール・ヒートトレンチ内部の井水熱コイルによる予熱や、全熱交換器組込みの外調機の採用、CO2濃度による外気量制御を行うことで、徹底的に冬期の外気負荷を削減する計画としています。 それ以外にも、環境に配慮した取り組みを積極的に行っています。現在は環境配慮が当たり前の時代となりましたが、2000年代初頭はそのような取り組みが始まった頃だったのではないかと思います。建築主である岩手県の環境意識も高かったのではないでしょうか。 吹抜け上部のトップライト。 太陽光発電(発電量40kw)は、トップライト建材と一体型で、当時、日本では珍しいものだったそうです。2か所ある吹抜け上部のトップライトにどちらにも太陽光発電設備が備えられています。 また、「学」の空間の東西面は長時間使用する小さな居室が多いため、強化ガラス+空気層+Low-E複層ガラスで断熱を強化したダブルスキンとしています。 中間期は、ダブルスキン下部に設けられた開口部を開けることで外気を取り込み、内側のサッシの開口を通って室内からアトリウムトップライトへ自然換気を行います。夏期は手動での角度変更や開閉が可能な垂直ルーバーでの日射のコントロールに加えて、ダブルスキン上部・下部の開口部を開放して日射熱を排出することで、日射負荷を低減します。当時、垂直ルーバーを手動で角度調整でき、かつ収納することができる機構はヨーロッパでは見られたものの日本では珍しく、メーカーと協働して実現させたそうです。 6階調理実習室。 手動で角度を変えたり収納したりできる垂直ルーバー。 鈴木:太陽光発電や自然換気、日射遮蔽など、施設利用者にも自然エネルギーの利用や省エネルギーのシステムが見える、使えることは環境配慮への啓発にもなりますし、先進的な取り組みだったのではないかと思います。 意匠、環境、構造、それぞれの分野が統合されてダイナミックで明快な空間構成が成立していることを実感しました。     《後編 岩手県立美術館へ続く》

PROJECTS

NEWS

2025.03.13
受賞ニュース
iF DESIGN AWARD 2025 受賞のお知らせ
慶應義塾大学 予防医療センターが受賞しました。
2025.03.04
ニュース
「華東国際複合物流新都市設計国際コンペ」第1位を獲得
日本設計は、上海上咨規劃建築設計有限公司(中国)との協働で「華東国際聯運新城都市設計国際コンペ」にて第1位を獲得しました。
2025.02.20
採用
新卒採用(2026年4月入社予定)の二次募集について
新卒採用(2026年4月入社予定)の二次募集を受付開始しました 対象領域:環境・設備設計(電気)、コスト設計 RECRUITの「新卒採用」からご覧ください。
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