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「FUTURE think++」 近未来型 低層オフィスのコンセプトモデル-2

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地域の風土に学ぶ、森の中のオフィス

「FUTURE think++」の具体的アイデアのうち、近未来型低層オフィスのコンセプトモデル-1の続編を紹介します。
家屋を風から守るための屋敷林は、季節の風向に合わせて防ぐ風あるいは取り込む風を選別するように配置されています。地域や地形によって異なる風向きに合わせた屋敷林の姿が風土として根付き、日本の風景をかたちづくっています。
このオフィスでも、計画地域に多数見られる屋敷林の樹木配置に合わせて植樹し、森の中で働くようなオフィスとして計画します。建物周囲の屋敷林が風から守り日射を遮るだけでなく、強風が吹いても建物周囲の圧力を安定させ、建物内に穏やかな風を取り込むことができるようになります。先人が築いてきた風土や文化が、建物規模に関わらずいかに有効であるかがシミュレーションからもよくわかります。

まんべんなく風が抜けるワークプレイス

換気面についても、自然のエネルギーによってワーカーそれぞれが快適と感じられ調整できる環境づくりが持続的な感染対策につながります。まずワークプレイスの全体にまんべんなく通風がとれる建物の骨格が重要です。窓はワーカーが換気量をコントロールできる開閉しやすいものにします。ワーカーが自ら調整して心地よさを獲得し、ワークプレイス全体では多様な気流が現れることになります。

上部から風を抜く天窓を用意することにより、上空を抜ける風の誘因効果と太陽光の熱による重力換気の力を使って、ワークプレイス外周の窓から取り込んだ外気を上部で排気します。空調は床から吹くことで、冷房・暖房の空気も自然換気の気流と同じように流れていくことになります。上部の人がいないレベルが風下となる感染リスクの低い自然換気モデルです。

気流コントロールとクールビズ&ウォームビズが自然換気の期間を拡げる

コロナ以降、リモート会議が急速に一般化ました。リモート会議では、出勤者はワークプレイスから、在宅勤務者は自宅のプライベート空間から出席します。自宅からの参加者はリラックスした服装、ワークプレイスから参加する人も社外の人に会う機会が減ったこともあってネクタイをしないセミカジュアルな服装というケースも多いかと思います。リモート会議の日常化は、場所だけでなく、働く服装の感覚にも小さくない影響を与えたのではないでしょうか。

2005年から環境省が主導したクールビズ・ウォームビズは、衣服を軽装化して電力消費を小さくするというものです。衣服の軽装化に加え、夏期は気流を感じることで涼感を得られれば少し室温が高くても快適と感じられ、さらに冷房設定温度を上げられるかもしれません。
SET*(Standard New Effective Temperature)という、人の周囲を取り巻く気温だけでなく湿度・風速・熱放射・活動量・着衣量を加味することで異なった条件の温熱環境を比較できる温熱感覚指標があります。このSET*を使って、計画地の年間の気候において、自然換気の期間をいかに広げるかを試算しました。横軸が1年間、縦軸が24時までの時間を示しており、自然換気できる期間・時間帯が緑色に示されています。計画地の気候条件によりますが、気流と着衣を調整すれば自然換気可能時間が30%以上広がる計算となります。

自然の風をワークプレイスにとりこみ、気候に合わせて衣服を調整する。
これが感染リスクを下げ、人も快適で地球環境にもやさしい、「新しい働き方」につながります。

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