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task-3 | 空間の順応化

室内温熱環境と省エネルギー1

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新型コロナウイルス感染症は、飛沫感染、接触感染、空気感染の3つの感染経路があると言われています。ソーシャルディスタンスやマスク着用は主に飛沫感染に、手洗いや消毒は主に接触感染に、換気は空気感染に有効と言われています。日本が世界に先駆けて発信した『3つの「密」を避けましょう!(Avoid the 3Cs)』(①換気の悪い密閉空間、②多数が集まる密集場所、③間近で会話や発声をする密接場面)でも、換気の重要性がうたわれ、これまでの空調システムによる温湿度の管理だけではなく、換気が注目されています。

換気の方法

換気の方法は、①新鮮な外気の導入により室内空気を入れ替える方法と、②循環する空気をフィルタや紫外線殺菌等で、ろ過・除菌する方法(一般的には空調に分類される)があります。①の新鮮な外気の導入は、窓開け等による自然換気、空調機やファン等の空調換気設備による機械換気、自然換気と機械換気の併用のいずれかで行っています。
コロナ禍では、空調時でも窓を開け、新鮮な外気の導入による換気を行っていることが多くの場で見られます。新型コロナウイルス感染症対策が注目されるようになってから、新鮮な外気はきれいというイメージがありますが、都心部などでは粉塵、花粉、PM2.5など、外気は汚れも無視できず、室内の空気の清浄度を保つ視点からは、空調機のフィルタでろ過して室内に導入することも考えなければなりません。ここでは換気による外気導入と省エネルギーの関係を考えてみたいと思います。

室内温熱環境とエネルギー消費量への影響

気候の良い中間期は、外気と室内空気の差が小さいため、外気導入量を増やしても、室内温熱環境への影響はごくわずかです。しかし、夏季や冬季は、空調設備の冷暖房能力を超えてしまうと、夏季は「蒸し暑い」、冬季は「寒い」と感じるようになります。夏季や冬季の自然換気は、窓の近くにいる人ほど、外気の影響で劣悪な環境になるリスクが高まります。
エネルギー消費量も同様に、外気導入量を増やすと、夏季は冷房エネルギー、冬は暖房エネルギーが増大します。また、機械換気の場合、運転時間を長くしたり、風量を増やしたりすると、ファンの消費電力も増えてきます。
右図は東京の2020年度の月別の平均気温、最高気温、最低気温のグラフに、外気を処理するための冷房と暖房のイメージを表したものです。厳密には時間軸や湿度等の影響もありますが、標準的な室内設定温度(夏季26℃、中間期24℃、冬季22℃)より上は冷房が必要で、下は暖房が必要ということになります。

2020年度の夏季や冬季は、実際にどのように運用され、室内温熱環境やエネルギー消費量にどのような影響があったのでしょうか。私たち日本設計が携わった事例でのデータ分析結果から、新型コロナウイルス感染症対策下における室内温熱環境と省エネルギーについて、次回以降2回に分けて紹介して行きたいと思います。

 

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