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医療施設と建築計画

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医療施設における現状は、診察・治療・検査・サービスなどの機能を集約し、効率性を求めてきました。そのため、今回のように感染者が少人数でも、病院全体が機能しなくなる事態が発生しています。また、機能的で冷たい病院といった負のイメージを避けるため、開放的で患者と職員が接する機会を重視する計画が主となっていました。しかし、患者や職員の安全性を確保し医療を継続させるためには、ふれあいの必要な範囲を再考し、患者と職員間や患者同士という必要に応じた隔離ができる計画の立案が求められていくでしょう。

これらの流れを単純に追及すると、社会からの隔離を第一とした過去の医療施設に逆行する危険性があります。そのため、AI、IoT技術等を駆使し、人に優しく開放的でありながら安全である新たな医療施設を創っていくことが求められます。

感染症対策と建築計画の歴史

1897年制定の伝染病予防法に基づく伝染病院には、伝染病棟を別棟として計画し、集団発生の際には容易に「隔離」できるようになっていました。
公衆衛生の向上と伝染病患者の激減により1999年に伝染病予防法を統合した感染症予防法が制定されました。それを機に、動線短縮や施設のコンパクト化による効率性をめざし、「病棟隔離」から「病室隔離」へと建築計画が大きく変わりました。以来、病院設計においては、感染症対策として病棟を別棟化することはなくなりました。
その後、BCP(事業継続計画)対応の一環として、感染症大量発生の対応、特に2009年の新型インフルエンザ発生時に「新たな隔離方法」が検討されましたが、心配されたほどの大量発生がなかったことから、施設として計画されることは少数に留まっています。

これからの医療施設における建築計画の考察

日本設計では、2009年の新型インフルエンザへのパンデミック対応が社会問題となった際に、自然災害時のBCPと合わせ、感染症集団発生対策についても継続的に取り組んできました。要望があれば常に応えられるよう「パンデミック対応病院」の案を準備しています。

・パンデミック対応案1:隔離型の病棟
1フロアに複数の看護単位を別棟として計画します。その病棟を翼状に枝分かれさせたパビリオン型として配列し、さらに表側と裏側に分けてエレベーター設備を設けます。

今回のような感染症発生時には、複数ある棟の端部1病棟を切り離し、裏動線を専用動線として活用することで明確に隔離できるようになります。それにより縮小するとはいえ、日常提供する高度医療を継続しつつ、パンデミックに対応できる計画です。

・パンデミック対応案2:断面隔離型の高層病院―救命救急センターを単独で拡張利用する
高層型の病院において、1階と2階にエントランスを設け、1階部分の機能をパンデミック時、拡張転用して単独で運用可能とする計画です。
1階に救急外来と「パンデミック時の病院」として転用可能な機能を配置し、独立して運用します。2階以上の日常の診療機能を維持できる計画です。これは自然災害時の対応にも有効に機能します。

①研修施設を「パンデミックICUに」
②講堂を「パンデミック一般病棟に」
③1階ロビーを「発熱外来に」
④ピロティはさらなる拡大に備えた「テント設置スペースを」
⑤救急外来には「最低限の放射線検査と検体検査が行えるサテライトを」
⑥1階に「備蓄倉庫を」

 

 

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