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2024.04.23
横浜共⽴学園中学校⾼等学校 本校舎改修計画

横浜⼭⼿で90 年続く歴史を継承する⼼の故郷となる⽊造校舎

横浜市中区山手町に位置し、歴史的保全や文化的環境を生かした景観形成が求められる敷地での本校舎を含む、新校舎2 棟を段階開発で行った横浜共⽴学園中学校⾼等学校 本校舎改修計画です。
計画を行う上では現状の高さ制限や日影規制、またそれ以外に本校舎も老朽化による改修が課題であったため、隣接する横浜女学院と共に、2013 年に山手町西部文教地区として区域を定め都市計画提案を行い、容積・最高高さの制限を緩和し、段階的な建替え計画を行いました。

外観の仕上げは文献より当時の仕上げに復元し、創建当時に近い外観に改修している(撮影/輿水 進)

 

 

築 90 年の⽊造校舎を次世代へ継承した本校舎

本校舎は1931 年 W・M・ヴォーリズ設計で1988 年に横浜市指定有形文化財第1 号の指定を受けた木造3 階建てです。既存の木造の空間を継承するため、耐震改修を行い、生徒利用が中心となるような木の改修計画としました。

改修を行う上で、ピアソン記念礼拝堂や階段等は元々の状態を残し、新しく改修した部分についても、重要度を整理し、元々の建築として重要度が高い諸室については既存の意匠(開口部やフローリングの幅60mm 寸法)は残した計画としました。また、現状の学園の使われ方に合わせて機能更新が必要な諸室についてはそれに合わせて計画しています。


本校舎 2 階ピアソン記念礼拝堂
礼拝堂を保存するため、内部空間は当時のまま保存し、外部から改修(撮影/輿水 進)

本校舎1階の中央ホール
ミス・ルーミス記念室同様、床は竣工当時のまま継承し、
階段部分は保存(撮影/輿水 進)

 


本校舎 1 階ミスルーミス記念室
フローリングは竣工当時の空間を継承するため、フローリングの意匠や幅 (60mm) は竣工当時のまま復元(撮影/輿水 進)

 

⽊造校舎を次世代へ継承する耐震補強

木造の本校舎は1,2階とも階高が約4mと高く、ピアソン記念礼拝堂や食堂、図書館等の大空間の部屋を有している構造的特徴があります。耐震診断よりIw0.7未満(倒壊する可能性が高い)という結果となり、全体的に耐力が不足していることが判明しました。

改修にあたってはIw1.25を上部構造評点の目標とし、本校舎の意匠を尊重した耐震補強とするため壁を新規に設置せず、既存木摺壁の合板への仕様変更、床への合板の増し張り、木製筋交いの増設、梁の接合部の補強をすることで耐力を確保する方針としました。ただし、長辺方向に開口部が多いため、開口部への補強が必要となったのですが、通常のブレースによる補強では建物の意匠性が損なわれるため、鉄骨フレームを風景に溶け込ませる耐震補強を採用しました。

改修時の木材使用量としては、本校舎で 141.6㎥(0.049/㎡)、その他3期で計画した体育倉庫 25.0㎥(0.309/㎡)を使用しています。

 


窓回りの鉄骨補強部詳細図

既存と溶け込んでいる鉄骨フレーム (撮影/輿水 進)

竣工当時の床下部分は改修でもそのまま保存
(撮影/輿水 進)

 

整備計画以前は本校舎で生徒が利用できる部屋は少なかったのですが、整備計画後は授業や昼食時、休み時間に限らず、一日中生徒が利用できる空間にすることができ、これからの新たな100 年を継承できる木造校舎です。


昼休みや休憩時間に生徒が利用できる食堂(撮影/輿水 進)

生徒が利用可能な図書室(撮影/輿水 進)

 


南校舎からは常に本校舎が見え身近に感じられる(撮影/輿水 進)

 

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