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2025.10.01
東京ミッドタウン八重洲

建築の楽しさを未来へ 城東小学校での授業と構造ワークショップ

「建物ってどうやって建てるの?」「設計って、どんな仕事?」 日本設計では、建築の楽しさや社会との関わりを次世代に伝える活動に取り組んでいます。その一環として、設計に携わった東京ミッドタウン八重洲が2022年に竣工したことを機に、JIA(公益社団法人 日本建築家協会)が主催する「子ども空間ワークショップ」にファシリテーターとして2023年から参加しています。
「こども空間ワークショップ」は、2001年から継続的に開催されており、子どもたちに空間をつくる力やその楽しさを体験し、仲間と協力して実践する力や、試行錯誤によって問題を解決する力を育むことを目的としています。また、社会や環境に目を向けるきっかけをつくる場でもあります。
2025年6月23日と28日に、東京ミッドタウン八重洲にある中央区立城東小学校にて、6年生を対象とした授業とワークショップを行いました。

 

小学生にも伝わる「建築」の世界

23日の授業では、「建物ってどうして倒れないの?」「構造設計って何をしているの?」といった問いを軸に、わかりやすい言葉で解説しました。
一見すると難しい構造の話題も、自分たちの小学校がある東京ミッドタウン八重洲を舞台に、手描きのイラストや動画、図解を用いることで、視覚的にも楽しく学べる工夫をしています。授業の後半には、児童からは「どうやって図面を描くの?」「木造建築の火に対する強さは?」といった質問が相次ぎました。設計プロセスに関する素朴な質問から木造建築の耐火性能という専門的な内容に迫るものまで幅広く、活発な対話が繰り広げられました。
こうした児童とのやり取りを通じて、普段は目に見えにくい構造という仕事をどう伝えるか、自分たちの伝え方が試されます。子どもたちの素直で活気ある質問に驚かされ、私たちにとっても新たな視点を得る機会となっています。

構造設計について説明する杉浦 良和(構造設計群) 児童も積極的に授業に参加

 

運動場での創造体験ワークショップ

28日のワークショップでは屋外運動場を会場に児童6~7人を1チームとし、建築家のファシリテーターが各チームに2名ずつ加わるかたちで、4チームに分かれて製作を行いました。プログラムは、木製の角材と輪ゴムを使い、自由な発想で構造物をつくるというものです。
タワーのような高層建築や船のような架構など、子どもたちは思い思いの発想で作品づくりに挑戦します。製作から発表、片付けまでを3時間で行うプログラムは、集中力と創造力が試される時間です。ファシリテーターとして参加した社員にとっても、子供たちの発想の柔軟さに驚きながら、一方的に教える立場ではなく自分たちも「学ぶ側」になっていることを実感しました。

ワークショップでの製作の様子

あるチームは「ツリーハウス」をテーマに、六角形の床と登れる外階段を備えた構造物を完成させました。階段の形状に最後まで悩みながらも、実際に児童が登れる階段を実現しました。別のチームは「ブランコ」を発想し、動かせるシートやベンチを組み込んだシンプルな構造に仕上げました。さらに、「ロケットと発射台」や「橋」といったスケールの大きなテーマに挑んだチームや、三角形やトラス構造を工夫しながら10mを超える作品を作ったチームも。​

階段が実際に登れるか確認する様子 10mを超える橋の製作過程

 

どのチームも自分たちのアイデアを最後まで形にしようと取り組む姿勢が印象的で、子どもたちからは仲間と協力して完成させた達成感や、立体的なものをつくる楽しさを実感する声が多く聞かれました。
最後の片付けでは、部材を多く使った作品ほど解体に苦労する様子も見られ、自然と解体のしやすさや過剰にならない設計について考える体験となりました。強度と軽やかさ、創造性と合理性。その両立の大切さを、子どもたちと一緒に、私たち設計者も改めて感じ取る貴重な時間となりました。

城東小学校の名物授業

このワークショップは、保護者が見学する授業参観日に合わせて実施されています。先生方によれば、今では児童にも保護者にも親しまれる名物授業となっており、来年の参加を楽しみにする5年生が見学に来る姿も見られました。子どもたちの反応や変化に触れながら、私たちの活動も年々進化しています。参加した社員にとっても、伝えることの難しさや設計の奥深さを実感する貴重な機会となっており、建築の意義や社会とのつながりを見直すきっかけにもなっています。

建築の力を未来につなぐ

社会との接点を広げ、ものづくりの魅力やつくることの意味をどのように次世代に伝えていくのか。この問いは、建築の未来そのものへの問いかけでもあります。この取り組みは、社会と向き合う建築のあり方を問い直し、子どもたちと共に未来を考える機会となっています。
日本設計はこれからも、教育や地域と連携した活動を通して、建築の未来をともに育んでいきます。

一緒に取り組んだJIAの会員のみなさんと共に

 

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