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2022.07.05
アクトシティ

訪ねてもらいたいー「音楽の街」を世界へ発信し続ける都市建築

静岡県最大の都市、浜松市の駅前に建つアクトシティは、音楽で有名な浜松を日本だけでなく世界に向けて発信し、国際都市・浜松をアピールするという大きなビジョンのもと建設されました。オペラ、バレエ、歌舞伎など多様な演目に対応したホールや国際会議のできるコングレスセンターを備えています。竣工から30年弱経つアクトシティの今を、入社3年目・6年目の日本設計社員3名がレポートします。

 


レポーターの3名。アクトシティの屋上公園「ショパンの丘」にて。左から鈴木 麻夕 (第3建築設計群)、渡邉 玲央 (第2環境・設備設計群)、中居 有紀 (プロジェクトデザイン群)

東京駅より新幹線「ひかり」で1時間半、浜松駅で降りると駅前にすぐその姿が見えてきます。


浜松駅前から見るアクトシティ

渡邉:新幹線の駅から徒歩5分と、ここまでアクセスの良い本格的なコンサートホールは珍しいそうです。

鈴木:中ホールはシューボックス型で音楽志向の形状になっており、大ホールは日本初の4面舞台で、海外公演もそのまま上映可能な多機能ホールです。4面舞台は現在も日本では数少なく、新国立劇場と同じ形式だそうです。


大ホール


シャンデリアとパイプオルガンが印象的な中ホール。舞台裏にはここで演奏してきた数々の国際的な楽団、アーティスト達のサインが壁一面に描かれていました。

中居:高さ212mの浜松アクトタワーは今でも県内一の高さを誇り、浜松駅前のシンボルとなっています。その一方でアーツアンドクラフツ風のデザインと、楽器で有名な浜松にちなみ音楽、楽器をモチーフにして曲面を使った形状、アースカラーの外観は、優しく親しみやすい印象です。タワーの楕円状の平面形状は風の影響や、電波障害、周辺への日影の影響なども考慮して決められたそうです。


サンクンプラザに面した玄関から大ホールへと導く市民ロビー。

さまざまな時を超えて

アクトシティのACTはアート(芸術文化)、アコード(調和)、コミュニケーション・コミュニティ(交流)、コンベンション(会議)、テクノロジー、トータル・マネージメントなどの頭文字から取った名称です。大ホールやコングレスセンター、楽器博物館など市施設「アクトシティ浜松」と、オフィス、ホテル、商業ゾーンを擁する民間施設「浜松アクトタワー」からなる複合施設として、浜松市が複数の民間事業者とともに開発しました。


全体スケッチ

中居:現在私たちが関わるもののなかには、多数の関係者と、多様な用途の複合施設で複雑化しているプロジェクトも多いですが、当時は官民一体の大規模プロジェクトは珍しかったのではないでしょうか。
施設の所有者、運営者、管理者、事業主体など複雑な開発のなかで、日本設計は官民それぞれの施設の設計者として、またコンペ提案者の一員として、プロジェクトマネジメントも担っていたと伺いました。施工者は8社ものJVで、まとめるのが大変だったという話も…。

渡邉:官民の異なる所有区分、用途が多様な複合施設では別々の設備、管理体制になりがちですが、展示イベントホールの地下にあるユーティリティセンターに基盤設備を集中設置し、施設管理を一元化しています。
また県初となる地域冷暖房設備も導入しています。実際はアクトシティ敷地内への供給のみということですが、浜松における街づくりの一環として、地域の都市基盤整備を意識した計画であることが窺えます。

鈴木:計画時はバブル景気、建設が始まった頃にバブル崩壊という、激動の時代に建設された建物でもあります。さらに今は新型コロナウイルスの影響で、使われ方は大きく変化しています。展示イベントホールはワクチン接種会場にも使われたとか…。公演・イベントの中止でホールやコンベンションセンターの稼働率は下がったそうですが、今後も改修を予定しているそうです。次の時代に向けて使われ続けていくのだと思います。


日本で公立初の浜松市楽器博物館。 世界中から集められた1500点の楽器を、地域別、種類別、年代別に展示。

創立時からの思想を受け継ぐ屋上公園

渡邉:アクトシティ全体を立体公園として位置づけ、駅前広場から連続するサンクン広場や、低層部の屋上を公園として開放しています。超高層建築の足元を市民の使える豊かな広場にしようという、創立時から続く日本設計の思想は、アクトシティにも表れています。

中居:「ショパンの丘」「音楽広場」など様々な種類のある屋上公園では、子供たちが学校の遠足で楽器博物館に来た際にお弁当を食べたり、チャペルで結婚式を挙げた方や、コスプレイヤー(!)の方の撮影の場になったりしているとお聞きしました。


円形の屋外ステージがある「音楽広場」。


「ショパンの丘」頂上にあるショパン像。ワルシャワ市内にある像の3/2程度の大きさのレプリカ。それでも4mの大きさ!

渡邉:浜松が車社会なこともあり、市民が日常的に使う広場というよりは、ホールに音楽を聴きに来た人々や、イベントの際に使われる、非日常の時間の延長としての広場という性格も強いのかもしれません。

鈴木:私は学生の時よさこいをしていて、浜松で行われるよさこいのお祭りにも参加していました。アクトシティの屋上公園がその練習場所に使われており、まさに非日常の広場の使われ方を体験しました。新型コロナウイルスの感染拡大により近年、お祭りは開催されていないようですが、ハレの場の風景が早く戻ってきてほしいと思います。


屋上公園でよさこいの練習をしている様子。(2015年撮影)

 

一緒に訪ねてもらいたい!浜松おすすめスポット

アクトシティと合わせて今回レポーター3名が訪れた、浜松のおすすめスポットをご紹介します。

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2022年5月31日 特記なき撮影:日本設計広報室

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