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2020.12.11
訪ねてもらいたい─アクロス福岡

四季折々の表情を見せる都市の中の「山」

「建物をひとつの山と見立てる」としてアクロス福岡は提案されました。竣工から25年が経った今、都市の中で四季折々の表情を見せる、まさに緑生茂る山のように成長しています。そのアクロス福岡を入社2年目の日本設計社員3名が訪れました。


レポーターの3名。左から縄田 拓哉 (都市計画群)、長谷川 由佳 (第3建築設計群) 、三輪 潤平 (ランドスケープ・都市基盤設計部)

天神の中心地に現れるオープンスペース

福岡空港から空港線に乗り約5分、博多駅に到着。


JR博多駅の駅ビル「JR博多シティアミュプラザ博多」の屋上には展望デッキがあり、博多駅前の街を見渡すことができます。

博多駅から西に伸びる大通りを進んで屋台で有名な中州を通り、那珂川を渡ると天神中央公園西中洲エリアに到着。クルーズ船乗り場や国指定重要文化財の旧福岡県公会堂貴賓館があり川辺のカフェでお茶をする人などで賑わっています。ここまで来たらアクロス福岡までもうすぐです。


天神中央公園西中洲エリア。
カフェやレストランが入るHARENO GARDENや、旧福岡県公会堂貴賓館(右)がある。

 


アクロス福岡に到着。木々が紅葉しています。

旧県庁舎の跡地に国際、文化、情報の交流拠点となる施設として、1989年に事業コンペが実施され、巨大なアトリウムとステップガーデンをもつ現在のアクロス福岡の提案が選ばれました。
福岡市都心部の天神エリアに位置するこの場所を、南側の天神中央公園と連続的に一体化したオープンスペースとすることが意図されています。

縄田:福岡の街は福岡空港が近く、航空法により約 60mの高さ制限があるため、敷地面積いっぱいに建つ建物が多く、個々でオープンスペースを取るのは難しい状況にあります。そのなかでステップガーデンにより屋上まで続く緑地をつくりだした案は先進的だったと思います。このような緑地の価値は今後ますます高まるのではないでしょうか。


南側の天神中央公園でイベントが行われていた日のアクロス福岡。 撮影:川澄・小林写真事務所

三輪:いま博多では、「天神ビッグバン」や「博多コネクティッド」などの面的な開発計画が進んでいます。アクロス福岡を含む天神明治通り地区も航空法の高さ制限が緩和されます。しかしながら、いくら周辺の都市の様相が変わっても、木々が成長し森のようにどっしりとそこに構える姿は印象的です。

さまざまな表情を見せる建築

長谷川:遠くからは山のように見え、近寄ると象徴的な三角形のエントランスが建物としての存在感を際立たせています。北側道路側は「国際会館の一側面としてビジネスの顔を表現した」というガラスカーテンウォールの立面です。距離や方向によってまったく見え方が異なるのが面白いですね。


北側の明治通りから見るガラスのカーテンウォールの立面。


天神中央公園に面したエントランス。
三角形の入り口が象徴的で、北側の通りまでアトリウム越しに見通すことができます。

中に入ると、地下2階から地上12階までの吹抜け空間となっているアトリウムが迎えてくれます。
ステップガーデンの植栽越しに光が入り、ステップガーデンに突き出た半円筒形のトップライトから天空光が降り注ぎます。


アトリウムから南側を見る。 撮影:川澄・小林写真事務所

長谷川:アトリウム西側は上に向かってセットバックするガラス曲面なのに対し、東側は角度を振った大理石壁面で、内部でもさまざまな表情が楽しめる空間となっています。


アトリウムのスケッチ。

 

今回は特別に福岡シンフォニーホールや国際会議場も見学させていただきました。福岡シンフォニーホールはベルリン・フィルハーモニー管弦楽団やウィーン・フィルハーモニー管弦楽団など名だたる楽団が演奏してきたホールです。舞台裏には今まで演奏してきた楽団のサインやステッカーが残されていました!


福岡シンフォニーホール。


国際会議や各種講演会などに使用される国際会議場。

25年という歳月の中で

いよいよステップガーデンを見学します。植栽育成管理をされている内山緑地建設の方にご案内いただきました。


ステップガーデンは日中は誰でも入ることができます。
植栽のメンテナンスには天神中央公園からの見え方を意識しているそう。

縄田:今回訪れてみて、「アクロス山」とまで言われるようになったこの特徴的な姿も、継続的な維持管理によって実現していることが分かりました。月に 5 回ほど植栽育成のメンテナンスがされているそうです。お話を伺った内山緑地建設の方が、「竣工は建物にとってのゴールではない」と仰っていたのが印象的でした。

三輪:植生は竣工時の 76 種から約 200 種に増えたそうです。極相(生物群集の最終段階)に近づいているというお話も聞きましたが、まさに25 年という歳月の中で本物の山のように成長したと言えます。

長谷川:博多ではアクロス福岡を知らない人はいないというお話も聞きましたが、人びとに愛されている故に成立していることだと思います。私も建築を仕事とする者として、このように人びとに愛され、守られていく建築を設計できたら、という想いが強くなりました。

 

一緒に訪ねてもらいたい!周辺おすすめスポット

アクロス福岡と合わせて今回レポーター3名が訪れた、周辺おすすめスポットをご紹介します。


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2020年10月21日 特記なき撮影:日本設計広報室

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