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日本設計 本社新オフィス 都市のようなワークプレイス

日本設計 本社新オフィス 新しいワークプレイスの在り方

think都市建築連続セミナー第6回  都市の未来と防災

IDEAS

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横浜⼭⼿で90 年続く歴史を継承する⼼の故郷となる⽊造校舎
横浜市中区山手町に位置し、歴史的保全や文化的環境を生かした景観形成が求められる敷地での本校舎を含む、新校舎2 棟を段階開発で行った横浜共⽴学園中学校⾼等学校 本校舎改修計画です。 計画を行う上では現状の高さ制限や日影規制、またそれ以外に本校舎も老朽化による改修が課題であったため、隣接する横浜女学院と共に、2013 年に山手町西部文教地区として区域を定め都市計画提案を行い、容積・最高高さの制限を緩和し、段階的な建替え計画を行いました。 外観の仕上げは文献より当時の仕上げに復元し、創建当時に近い外観に改修している(撮影/輿水 進)     築 90 年の⽊造校舎を次世代へ継承した本校舎 本校舎は1931 年 W・M・ヴォーリズ設計で1988 年に横浜市指定有形文化財第1 号の指定を受けた木造3 階建てです。既存の木造の空間を継承するため、耐震改修を行い、生徒利用が中心となるような木の改修計画としました。 改修を行う上で、ピアソン記念礼拝堂や階段等は元々の状態を残し、新しく改修した部分についても、重要度を整理し、元々の建築として重要度が高い諸室については既存の意匠(開口部やフローリングの幅60mm 寸法)は残した計画としました。また、現状の学園の使われ方に合わせて機能更新が必要な諸室についてはそれに合わせて計画しています。 本校舎 2 階ピアソン記念礼拝堂 礼拝堂を保存するため、内部空間は当時のまま保存し、外部から改修(撮影/輿水 進) 本校舎1階の中央ホール ミス・ルーミス記念室同様、床は竣工当時のまま継承し、階段部分は保存(撮影/輿水 進)   本校舎 1 階ミスルーミス記念室 フローリングは竣工当時の空間を継承するため、フローリングの意匠や幅 (60mm) は竣工当時のまま復元(撮影/輿水 進)   ⽊造校舎を次世代へ継承する耐震補強 木造の本校舎は1,2階とも階高が約4mと高く、ピアソン記念礼拝堂や食堂、図書館等の大空間の部屋を有している構造的特徴があります。耐震診断よりIw0.7未満(倒壊する可能性が高い)という結果となり、全体的に耐力が不足していることが判明しました。 改修にあたってはIw1.25を上部構造評点の目標とし、本校舎の意匠を尊重した耐震補強とするため壁を新規に設置せず、既存木摺壁の合板への仕様変更、床への合板の増し張り、木製筋交いの増設、梁の接合部の補強をすることで耐力を確保する方針としました。ただし、長辺方向に開口部が多いため、開口部への補強が必要となったのですが、通常のブレースによる補強では建物の意匠性が損なわれるため、鉄骨フレームを風景に溶け込ませる耐震補強を採用しました。 改修時の木材使用量としては、本校舎で 141.6㎥(0.049/㎡)、その他3期で計画した体育倉庫 25.0㎥(0.309/㎡)を使用しています。   窓回りの鉄骨補強部詳細図 既存と溶け込んでいる鉄骨フレーム (撮影/輿水 進) 竣工当時の床下部分は改修でもそのまま保存 (撮影/輿水 進)   整備計画以前は本校舎で生徒が利用できる部屋は少なかったのですが、整備計画後は授業や昼食時、休み時間に限らず、一日中生徒が利用できる空間にすることができ、これからの新たな100 年を継承できる木造校舎です。 昼休みや休憩時間に生徒が利用できる食堂(撮影/輿水 進) 生徒が利用可能な図書室(撮影/輿水 進)   南校舎からは常に本校舎が見え身近に感じられる(撮影/輿水 進)  
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南山大学におけるモダニズム建築群の保存再生と大学キャンパスの成長デザインへの取り組み
マスタープラン模型を囲むアントニン・レーモンドと所員(写真/レーモンド設計事務所提供) 名古屋市にある南山大学キャンパス(1964年創建)は、アントニン・レーモンドが「自然を基本として」をコンセプトにマスタープランから設計まで手掛けたモダニズム建築の名作です。日本建築学会賞(1964年)を受賞し、docomomo100選(2003年)に選定されています。 その特徴は、緩やかな丘の尾根をメインストリートとし、櫛状に建物を並べ、その間に緑が入り込むマスタープランです。赤土色のコンクリート壁に映りこむ、庇やルーバーによる美しい陰影を持つ建築群がつくり出すキャンパス景観は、アントニン・レーモンドの設計思想が現在まで伝えられた貴重な遺産と言えるでしょう。   増築建物と調和したキャンパス景観(写真/滝田フォトアトリエ 滝田良彦) 創建当時から学生の記憶に残る大教室の再生(写真/滝田フォトアトリエ 滝田良彦)   南山大学は、この文化的価値を資産として活かす方針を固め、本キャンパスに全学部を統合する計画に取り組みました。そして新たに学生を受け入れるためのキャンパスの再編を実現しました。 日本のモダニズム建築は、文化財として未指定のものが多く、保存への取り組みや法制度による支援が十分とは言えません。老朽化により取り壊されることも珍しくなく、本キャンパスも建て替えを検討した時期がありました。しかし、キャンパスの成長戦略の中でモダニズム建築群およびマスタープランの価値を改めて確認し、本キャンパスのアイデンティティの力強い継承につなげることにしたのです。   「重要文化財(建造物)保存活用計画策定指針」に準拠して、「保存部分」「保全部分」「その他部分」を設定。関係するすべての方々と共有し、長期間におよぶプロジェクトに対応したガイドライン   1964年と2019年の鳥瞰写真(写真左/北澤興一氏所蔵、写真右/滝田フォトアトリエ 滝田良彦)   キャンパスのプログラムの再編 より質の高い教育と研究を提供し、他学部・他学科間での交流が活性化することを重視したプログラムの再編を行いました。教室・食堂・クラブハウスの増築、教員研究室とセミナー教室、ロッカー室、ラーニング・コモンズへの改修等、キャンパス全域の外構整備について、延べ面積約15,300㎡の増築工事(2棟)、約27,400㎡の改修工事(16棟)を7年度をかけて行いました。   「自然を基本として」を体現する校舎の増築 アントニン・レーモンドの設計思想、マスタープランを反映し、外部との連続性を意識した棟配置、自然採光と自然通風を基本とした施設計画としました。丘陵地の特性を活かして、緑に囲まれた立体的な学生の活動の場となっています。ルーバー等の外装は、フレームサイズと部材のバランスの確認、制作限界との調整やモックアップでの確認を繰り返し、調和のとれたデザインを完成させました。   教室棟を貫通する緑地(写真/滝田フォトアトリエ 滝田良彦)   赤土色の壁とルーバーデザインを継承する教室棟 (写真/川澄・小林研二写真事務所) 緑に囲まれた食堂棟(写真/滝田フォトアトリエ 滝田良彦)   キャンパスの景観デザインの継承 現地土壌の色である特徴的な赤土色の外壁を再現しています。創建時から引き継がれるキャンパス景観を美しく安全に再生するため、ルーバーは全て劣化調査を行い、外観に影響の少ない改修方法を丁寧に選択しました。外構改修では、マスタープランの骨格・美観を維持することを重視しながらも安全性、美観・機能性を確保した再生を行っています。誰もが憩えるようバリアフリー改修を行い、キャンパス全域の動線を活性化しました。 美しい陰影を持つキャンパス景観 (写真/川澄・小林研二写真事務所) 学生で賑わうメインストリート(写真/滝田フォトアトリエ 滝田良彦)   教室棟間の豊かに成長した緑地(写真/滝田フォトアトリエ 滝田良彦) メインストリートへ繋がる小径(写真/滝田フォトアトリエ 滝田良彦)   キャンパスの成長の歴史をアーカイブとして一般公開 アントニン・レーモンド自身がデザインした壁画と外部レリーフ、創建時のアルミサッシやガラスを工業的な遺産として保存しています。また、本プロジェクトの理念、設計上の要点、工事記録を「保存活用工事報告書」に取りまとめました。大学図書館内に展示コーナーを新設し、これらの記録を次世代へ確実に継承しています。 レリーフが象徴的なパッヘスクエア(写真/川澄・小林研二写真事務所) 壁画を活かしたG 棟のメインエントランス (写真/川澄・小林研二写真事務所)   大学図書館に新設したプロジェクトの展示コーナー(写真/南山大学提供)   学生の心地よい居場所 学生の居場所である教室などは、既存天井・壁の改修による耐震性能の向上やアルミサッシの撤去新設、換気設備の増設、什器・AV機器を再整備し、現代の教育環境に相応しい空間に改修しています。 コンクリート打放しの柱・梁、木製の壁を保全しながら、自然に囲まれた心地よい空間に再生しました。 学生の交流拠点となる開放的なコリドー (写真/川澄・小林研二写真事務所) 豊かな緑を望む学生食堂(写真/川澄・小林研二写真事務所)   新たな教育環境として再生したG30(600 人教室) (写真/川澄・小林研二写真事務所) 菱目梁を活かしたオープンな図書館閲覧室 (写真/南山大学提供)
Case Study
「こと」を生み出し、「まち」の魅力を高める
押上・業平の「ことまちプロジェクト」
東京都墨田区の押上・業平エリアは東京スカイツリーのある下町です。日本設計は現在、同エリアで「ことまちプロジェクト」と名付けられたまちづくりに携わっています。3月には新しい街の魅力をつくりだす拠点「ことまちベース」が誕生しました。   押上・業平エリアは、東京スカイツリー開業以来、国内外から多くの来街者が集まっています。一方、スカイツリータウンの南側に位置する浅草通り沿道のエリアは、かつて路面電車沿道の商店街として賑わいをみせていましたが、後継者問題などにより多くの店が閉店し、現在はマンションとの共存により「1Fレベルの商店(=賑わい)の連続性が途絶えているまち」となっています。北十間川や旧電車通りの広幅員道路を挟んでいることもあり、賑わいのある中心地からやや離れた雰囲気です。 「さらに住みやすく、楽しく、みんなに愛されるようなまちにしたい」――。そのような思いから、2023年に「ことまちプロジェクト」がスタート。日本設計プロジェクトデザイン群は東武不動産が事務局を務める「ことまちプロジェクト推進会議」のメンバーとしてマスタープラン型の都市計画の視点と、タクティカル・アーバニズム(長期的な都市の変化を目指し、小さなアクションを積み上げていくアプローチ)の考え方による小規模なまちづくり 、その双方からのアプローチを実施するディレクションを行っています。 まず私たちはこのエリアのまちづくりにおいて、重要なポイントは「1Fレベルの賑わいの連続性」だと考えました。まちを見渡すと間もなく更新時期を迎える建物が多くあり、また低容積・低利用な土地も見受けられました。まずは東武不動産の所有地を中心に、建替の際には1Fに賑わいの要素となる店舗等を誘致し、中上層階には宿泊機能も擁した多様な住環境を整備することで、街全体でのコミュニケーションを活発化させることから始めようと考えました。そして、まちづくりのプロセスの中では、東武不動産だけでなく、地域住民をはじめとした、さまざまな方に参画してもらうことが不可欠であると認識しました。 プロジェクト中心エリア 墨田区業平の浅草通りと北十間川沿い、押上の四ツ目通り沿いエリア また、プロジェクトを推進する中で、まちづくりの拠点となる場所の創設を計画しました。東武不動産が浅草通りに所有する老朽化した長屋他は、シャッターが閉ざされ、まちのにぎわいを損ねる要因となっていたため、リノベーションして活用し、賑わうまちの姿を具体的に示すことで、まちづくりに賛同してくださる方の輪を広げることを目指しました。耐震性の問題から長屋のリノベーションは実現しませんでしたが、「ことまちプロジェクト」第一弾として2023年2月にワークショップを開催。来場者(9日間で202名)にまちの好きなところを付箋や地図に書いてもらったり、解体する美容室の壁面を白くして子どもたちに絵を描いてもらったりすることで、まちづくりに関心を持ってもらえるような工夫をしました。また、長屋の古材を活用してカードホルダーなどの雑貨をつくるイベントを開催したほか、さらには長屋に残されていた古家具を希望者に譲るなどして、古い記憶も大切にしました。 「プロジェクト始動後、地域の方々の声を直接聞けたのは初めてで、とても貴重な経験でした。まちの方々は『下町が好き』で、『ふらっと立ち寄れる場所や子どもたちが楽しめる場所』『賑わいはあるけれども快適に暮らせること』を求めていることがわかりました。同時に、『まちにはもっとお店が増えてほしい(個人商店に頑張って欲しい)』『ソラマチ以外には特にこれといったものがない』という課題も抱えていることが明らかになりました。また、こうしたエリアにおいては、一時的な空き地や既存建物を活用して、様々な魅力を作り出しながら機能更新する重要性も感じました」。(プロジェクトデザイン群・中居有紀) まちに関するアンケートを行う 日本設計プロジェクトデザイン群の中居有紀(左)。 解体前の長屋を利用し、さまざまなワークショップを開催しました。 まちの好きなところや、30年後のまちの姿などを付箋に書いてもらい、ガラスに描かれた木の枝に貼ってもらいました。 建物引き面の一部を白く塗り、子どもたちが絵を自由に描けるようにしました。 長屋から家具を運搬する 日本設計プロジェクトデザイン群の古田靖二(中央)。 推進会議には、建築・都市計画が専門の千葉大学・鈴木弘樹准教授の研究室も参加しています。「ことまちベース」の広場に導入する予定の人工芝の実証実験を研究室とのコラボレーションでも行うなどして、データに基づく新しい取り組みの提案に反映させています。 工事着工後に設置された仮囲いは、日本設計の中居がまちの賑わいが感じられるイラストを描きました。   そして2024年春、この土地に、地元住民、来街者、仕掛け人が集まって知恵を出し合い、新しいまちの魅力を創出する拠点「ことまちベース」が開業します。「ことまちベース」は、ワークショップやイベントを通じてまちの魅力を考え、実践するスペース「ことまちラボ」、人々が憩い交流する「こと庭(広場)」、飲食店などの店舗が並ぶ「にぎわい施設」の3つの機能で構成された複合施設です。まちと人をつなぎ、その交流で生まれた新たな「もの」や「こと」をまちの魅力として活かし、さらなる交流や新たな魅力を生み出すサイクルを目指します。 「ことまちベース」は、あくまで「暫定施設」として位置づけられており、将来的には中高層建築(前述)に生まれ変わる予定です。「経済的な面から考えれば、暫定的な施設を建てることは非合理的かもしれません。ただ、まちの賑わいを活性化させ、かつ東武不動産が目指すまちづくりを地域の方々へ具体的に示す上で、ことまちベースは大きな役割を担うと思います」(日本設計プロジェクトデザイン群・古田靖二) ことまちベースの完成予想イラスト   ◆こと庭(広場) ・地元住民から来街者まで多様な人が憩い交流する場 ・浅草通りの多様な活用に向けた様々な試みのできる実証実験の場 ◆ことまちラボ ・ワークショップやイベント、社会実験等を通じて、街の賑わいを産む「街の魅力」について考え、試行錯誤し、実践できる実証実験スペース ◆にぎわい施設 ・広場やテラスの活用のためのサービス・支援施設であるとともに、そのものが街の魅力となる店舗を併設 ・ことまちプロジェクトの取組みを分かりやすくプレゼンスできる、地域ならではの魅力をもつ店舗を誘致   東武不動産と一緒に進めるまちづくり「ことまちプロジェクト」 はまだまだ始まったばかりです。活動領域を広げるとともに、地域住民をはじめとする多様なプレーヤーの参画、そして「公・民・学」の連携の継続を行います。教育サービスを提供する株式会社リバネスも参加し、押上・業平エリアをフィールドに、「街のにぎわいづくり」をテーマに人材の育成にも取り組んでいます。 空地や空き家の活用により、将来的には「北十間川沿道の歩行者専用化と空間活用」「浅草通りの車線減・歩行者空間拡充と空間活用」といった公共空間活用の連携も視野に入れています。 今回、「ことまちベース」というハード面が一つ形になったことで、まちづくりの機運がいっそう高まることを期待しています。「今年度は主に、まちづくりや地域交流の拠点として「ことまちベース(ラボ)」のオープンに向けて取り組みました。まだ十分に地域の方から意見をお聞きできていないので、今後は道路等の公共空間を活用した実証実験を行い 、地域の皆さんも巻き込んだ意見収集に注力する予定です。そういったコミュニケーションを大切にして、プロジェクトの方針に反映させ、活動を少しずつまちに広げていきたいと考えています」(中居)

PROJECTS

NEWS

2024.04.19
受賞ニュース
2024年日本建築学会賞(業績)受賞のお知らせ
「南山大学におけるモダニズム建築群の保存再生と大学キャンパスの成長デザインへの取り組み」において 日本建築学会賞(業績)を受賞しました。
2024.04.19
受賞ニュース
2024年日本建築学会賞作品選集新人賞 受賞のお知らせ
「熊本城特別見学通路」が受賞しました。
2024.04.12
受賞ニュース
カーボンニュートラル賞 受賞のお知らせ
日本設計が携わった2プロジェクトが受賞しました。
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