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エコヴェール

「エコヴェール・エコベール・ECO VEIL」

としまエコミューゼタウンの低層部、としま区庁舎の外観を作り出している「パネル」状の外装材をまとめて、設計者としては「エコヴェール」と呼んでいます。
この建物は庁舎ということもって避難上有効なバルコニー・屋上庭園を持つ構成となっているのですが、一般的にはそのような構成の建物は外装の外側に「手すり」がつけられただけの外観となっています。それに対してこの建物では外壁の外側にもうひとつの外壁を設け、二つの外壁の間に「心地よい中間領域」を作れないかと考えてことがこのデザインをあみ出す発端になりました。
よくある事例で言うと、共同住宅のバルコニーで外側に「すのこ」をかけてバルコニーに日影を作り出しているものと似ています。さらにこのすのこの替わりに「アサガオ」や「ゴーヤー」などの植物を使って植物が作り出す空間の心地よさを体感されている方も多いのではないかと思いますが、「エコヴェール」でもそれと同じ発想で植物が茂るパネルを用いています。

エコヴェールが連なる外観(撮影/川澄・小林研二写真事務所)
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パネルには5種類があり、太陽電池が2種のほか、視界をさえぎらないガラスで風除けとしたもの、人造木材で日除けの格子を作ったもの、それと植物を茂らせたものです。これらをランダムに配置することによって単調になりがちな庁舎の外壁を日々季節と天候によって移り変わる外装としてランドマークとするとともに、この外壁の「中間領域」が地域に開放された立体公園であることを演出しています。

エコヴェールを形成する5種類のパネル
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外観ではパネルの隙間が小さくて内側はうっとうしい空間ではないかと見えるかもしれませんが、内側に入るとパネルの存在はほとんど気になりません。それは視線をさえぎる位置を慎重に避けたパネル配置としていることに加え、外装とパネルの間に作られた空間が、内部空間にとって第二の地面が見えているかのように形作られているからではないかと利用者の方は評しておられました。
建築設計者としては様々な技術的トライの結果をこのように身体感覚としての心地よさとして受け入れられることこそが理想のあり方であり誇りに思うところです。

エコヴェールの内側に設けられたグリーンテラス(撮影/川澄・小林研二写真事務所)
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エコヴェールは、ほかの読み方としてエコベール、英文のECO VEILとともに商標登録を取得しています。これは今後も同じ名称で他のプロジェクトに応用していきたいという考えがあるからです。
二重外壁と心地よい中間領域、という考え方自体はさまざまな建物で普遍的に応用できるものですので、名前のいかんに関らず温帯モンスーン気候のわが国の建築物のあり方として広がりを見せていってほしいと思います。