ケーススタディー

京王プラザホテル ユニバーサルルーム

 1971年から2018年へ連なる想い

日本で初めての超高層ホテルである京王プラザホテルと日本設計との関わりは本館(1971年竣工)を手掛けたことから始まっています。京王プラザホテルは開業時から「国籍・立場・年齢・障害の有無を問わず、あらゆる人が集う広場(プラザ)」であることを企業理念に掲げており、ユニバーサルルームも、この精神を継承するクライアントと、その想いを理解し具現化する設計者との協働により計画されました。

1988年、「障がいが原因で活動が控えがちだった方にも安心して旅行や外出を楽しみ、一般利用客と同じ感動を体験いただきたい」というコンセプトのもと、ホテル業界で初めて「ユニバーサルルーム」と名付けられた、車椅子ユーザーも利用しやすい一般客室が京王プラザホテルに誕生しました。
その後、2002年に発表された「新ユニバーサルルーム」は、当時世間に認知され始めた「バリアフリールーム」を超えて、健常者も四肢・視聴覚に障がいを持つ人も、同じ客室で宿泊を可能とする画期的な試みでした。日本設計はクライアントと共に手探りで新しい形の客室を手掛けました。時代を先取りしたこの客室は非常に高い評価を受け、16年にもわたり提供され続けました。
一方、国内では障がいへの理解も進み、高齢化社会の影響もありユニバーサルデザインへの関心がますます高まっていきました。さらに2020年の東京オリンピック・パラリンピックの開催決定や、年々増えていくインバウンドの日本のホテルへの期待、室内設備の老朽化も相まって、2018年、現代のニーズに合った客室へ新たに改修されたのです。

必要な時に必要な設備を取り付ける。全て室内動線や家具の高さなど、すべて原寸の検討ルームで確認しつつ設計を進めた。新たにラインナップに加わったラグジュアリーデラックスツイン(47.0㎡)(左)とジュニアスイートツイン(67.4㎡)(右)。(提供:京王プラザホテル)

2002年開業のデラックスツイン(35.5㎡)の改修前(左)と改修後(右)。(提供:京王プラザホテル)

時代のニーズに対応するホテル客室計画

以前の評価点は継承しつつ、検討すべき点を見直しながらより進化した設えとしました。元々はデラックスツイン10室でしたが、現代に求められる多様性を考慮し、より広くゆったりとしたラグジュアリーデラックスツインや、トイレ、浴室、パウダールームが独立したジュニアスイートツインを加え計13室が提供されています。スイッチ1つでのモード切替、着脱式の設備で全てのゲストが快適に過ごせる様、細部まで設計されました。
設計の指針は以下の3点。
・出来る限り法令を守り、多様な障がいを持つゲストがストレス無く安全に過ごせること
・調節・着脱可能な特徴を引き継いだ設備、サービスを提供すること
・洗練されたデザインによりホテル全体に統一された世界観を提供すること

左より、一般利用時;四肢障がい者利用時は脱着式手すりや背もたれ、浴槽周辺設備を取り付ける;ゲストの姿勢によって更に背クッションを貸出し;機器はホテルスタッフが短時間でセッティングできる。(提供:京王プラザホテル)

左より、空間のセンターが解りやすい客室廊下・エレベータホール;ピクトをつかった大型スイッチ;触知できる室名サイン。(提供:京王プラザホテル)

聴覚障がい者用のアラートシステムと連動した室内・浴室内の照明フリッカーで来客やデバイス着信、非常時の警報を伝える。(提供:京王プラザホテル)

左より、ミニバー。立位・座位問わず利用できるように検討された;扉の引き手や引き出し手掛けは握力がなくても開閉できる形状としている;オリジナルの電動起立補助チェア;チャイム連動モニターは扉の開閉スイッチと共に室内に設け、来客時に出入口まで行く必要がない。(提供:京王プラザホテル)

左:水周りへのアプローチは、床レベルを変更せずスロープを増設。スロープ端部の一方枠は手すり代わりになる。  右:モード切替のスイッチや着脱式の機器は客室内に設けられた収納庫に納めているためバックヤードから運ぶ必要がなく、セッティングも容易に行える。(提供:京王プラザホテル)

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