ケーススタディー

実践的な建築技術を体験しながら学ぶZEBスクール「関東学院大学金沢八景キャンパス5号館(建築・環境棟)」

建物南東面のファサードは可変性のある外装計画
(撮影/鳥村鋼一)

関東学院大学金沢八景キャンパス5号館(建築・環境棟)は、ダブルスキン、日射遮蔽可動式水平ルーバー、地中熱利用など様々な環境・設備技術が建物全体の中で総合的に関係づけられ、建築・構造・設備が一体となった建築を実現しています。太陽の動き、周辺建物からの日影、卓越風といった周辺環境条件から外観ファサードの構成を発想し、柔らかく周辺環境と呼応した建物となっています。環境の快適化を学び、その場で体験し、さらには積極的に使用・操作できる、そんな建物で学ぶことで自然と建築・環境学を学び検証できる生きた学修教材にもなっており、エネルギー実績でZEB Readyを達成しています。

建築・環境棟に導入された環境設備技術

学生が環境調整を実践するマルチモードダブルスキン

備えられた各種環境調整装置は、あえて手動操作を主体としています。学生が自らセンサーとなって、各種環境装置を操作し、建物を季節ごとに環境に応答させます。学生センサーは経験を通し、感度を上げ、より精度の高い環境応答へと成長し、サステナブル建築へと導かれていくことを意図しています。

季節に呼応するマルチモードダブルスキン
(撮影/鳥村鋼一)

垂直パネルと熱回収ファンを組み合わせた新しい天井放射空調

放射空調には、対流効果も必ず伴います。そこで、天井放射空調でありながら、対流効果にも着目したシステムを構築しました。放射システムの能力を高め、冷房時は緩やかな下降気流を誘発するために、水平放射パネルに加え、パネル間にパイプを垂直設置した垂直パネルを併用しています。さらに暖房時は天井内に設置した熱回収ファンで天井内の熱を窓際に供給しています。

上:2種類のパネルと熱回収ファンを組み合わせた天井放射空調システム/左下:天井放射空調3階スタジオ/右下:2種類の放射パネルの概要
(左下:撮影/鳥村鋼一)

環境の豊かさを感じられる地中熱を利用した放射冷暖房パネル

1階学生ラウンジと掲示板のある通路の間には、環境の豊かさを感じられる“涼み処”、“採暖処”として触れられる放射冷暖房パネルを設置し、水平埋設方式の地中熱利用システムでつくった冷温水を利用して冷暖房しています。

上:”涼み処”、”採暖処”の放射冷暖房パネルと地中熱利用システム/左下:1階学生ラウンジの放射冷暖房パネル/右下:熱画像
(左下:撮影/鳥村鋼一)

エネルギー実績とZEB評価

建築・環境教育実践として各種性能検証を行い、省エネ施策を立案するなどし、2016年度のエネルギー実績は、太陽光発電で年間エネルギー供給量の約15%を賄い、建物全体で 436MJ/㎡・年で、参照値比 64%削減のZEB readyを達成しました。

左:年間一次エネルギー消費構成比率/右:エネルギー消費量の比較