メニュー
Youtube Instagram

日本設計 本社新オフィス 都市のようなワークプレイス

日本設計 本社新オフィス 新しいワークプレイスの在り方

think都市建築連続セミナー第6回  都市の未来と防災

IDEAS

Case Study
帆船のような白い膜は、新今宮の街の新たな船出を見守るシンボルとなる
OMO7大阪 by 星野リゾートは、星野リゾートによる大阪初のホテルで、周辺エリアの魅力、地域の個性を楽しむことができる都市型ホテルです。 JR大阪環状線新今宮駅のプラットフォームに降り立つと、視線の高さにあるパブリックスペース「OMOベース」と緑豊かな広場「みやぐりん」、そして大きな帆船のような白い膜で覆われた姿が目に飛び込んできます。 この特徴的な外観は、建物のコンセプトや環境性能、施工のしやすさなど様々な観点から考案されました。設計を担当した日本設計プロジェクト管理部フェロー松尾和生と、建築設計群 瀬野建人へのインタビューを通して、そのアイデアと実現までの一端をご紹介します。   ブランドコンセプトを体現する外装 「みやぐりん」から見た、白い膜で覆われた特徴的な外観。 提供/OMO7大阪 by 星野リゾート クライアントからの最初のリクエストは、「『おもしろい、おもてなし』というブランドコンセプトを表現したワクワクする建築にしたい」「星野リゾートらしく、環境技術を可視化させたデザインにしたい」といったものでした。 「最初は『おもしろい、とは何か』といった根源的な議論から始め、そういった中から、一見何の建物か分からない、ランダムなものが持つ面白さといったキーワードが生まれました。」(瀬野) 建築設計群・瀬野建人 計画地の歴史的文脈を紐解くなかで、この地が古代は海であったこと、行き交う北前船が商売のまち大阪をつくりあげたことに思いを馳せ、帆船のイメージをデザインに重ねていきました。また、古くから日本にある風呂敷などで『包む』というおもてなしの気持ちの表現から、客室を包み込むように、柔らかい素材である膜で外装をつくるという発想が生まれたのです。 膜の小さなエレメントに壁面を分節し、それをランダムに集積させたデザインは比較的スケールの小さい建物が建ち並ぶ街に大きな建築が建つことに対して、圧迫感の軽減にも寄与しています。 夜には客室から外装膜を通して漏れる柔らかい光により、都市の中で建物自体が行燈のように光ります。また、イベントに応じた特殊映像を映すスクリーンとしても楽しむことができます。 プロジェクト管理部フェロー・松尾和生 「かつてこの地はディープな印象があり、大阪に住む人もなかなか足を踏み入れないエリアであったこの街を明るく元気にしたいという想いがあり、それがこの場所ならではの外装デザインを生み出す原動力となっています。また、この土地は活断層の近傍にあるため免震構造としており、中間層免震より上の高層部を白い膜で覆うことで、浮遊感と軽やかさを持たせています。」(松尾) 季節に応じた映像を映し出す外装膜。 提供/OMO7大阪 by 星野リゾート 基本計画の初期から膜のデザインは生まれ、その後1か月半ほどという短期間で外装膜のデザインの骨格はできあがっていきました。 基本計画時の外装のスケッチ。左上から右下にかけて、「ランダムさ」というキーワードから徐々に外装膜を実現するためのディテールを考察している様子が見て取れる。 「今まで誰も見たことがないものなので、クライアントと時間をかけてイメージを共有していきました。このホテルには外装膜以外の提案はない、と私たちは確信を持っていたので、東京の別の建物の現場で膜に見立てた模造紙を窓に貼り見え方を検証したり、CG動画を作ったりなど、外装膜がもつ可能性を伝えました。最終的に現場で施工された外装膜を見て、イメージしていた以上の光景を目の前にし、クライアントも驚きとともに喜んでくださっていたと思います。」(松尾)   外装膜による環境デザイン OMO7大阪 by 星野リゾートでは、熱容量の大きなコンクリートを剝き出しにせず、熱容量の小さな膜材で包むことで、建物外壁への直達日射量を軽減し、幅100m高さ50mという大きな外壁面の温度を下げています。日本人が古くから簾や障子で築いてきた外皮による遮熱の知恵を、現代的な素材である膜で再構築しているとも言えます。 周辺を含めた簡易的な表面温度解析によると、躯体温度が周辺建物よりも下がることが分かりました。ホテル前に広がる緑地「みやぐりん」への放射熱低減効果をもち、ヒートアイランド現象の緩和に寄与しています。 8月の14時における建物の表面温度の解析結果 同時に外装膜は、内部空間への自然光を拡散しながら室内へ取り入れる効果も持っています。 外装膜により、客室内に差し込む日射量が夏場で30~45%軽減されること、夏場の現場作業環境の暑さが軽減されることがシミュレーションによって確認されました。空調起動時に必要なエネルギー消費量を抑え、オペレーショナル・カーボンの削減に貢献しています。 外装膜越しに自然光が入る客室室内。 提供/OMO7大阪 by 星野リゾート 「この遮熱性能は施工の現場段階でも体感できていました。ガラスの入った階はコンクリート自体から発する熱と太陽熱によりかなり蒸し暑くなるのですが、外装膜が下階から施工されていくと、施工された階では明らかに涼しく感じられたのです。」(松尾)   後編では、アルミ型材と膜で外装をつくるという日本初の試みを実現させるまでの工夫と技術をご紹介します。 特記なき画像提供/日本設計 記事後編はこちら OMO7大阪 by 星野リゾート 概要はこちら
Case Study
いままで見たことがないものを提案する。アルミ型材と膜で外装をつくる日本初の試み
OMO7大阪 by 星野リゾートは、星野リゾートによる大阪初のホテルで、周辺エリアの魅力、地域の個性を楽しむことができる都市型ホテルです。 白い膜で覆われた特徴的な外観は、建物のコンセプトや環境性能、施工のしやすさなど様々な観点から考案されました。前編に続き、設計を担当した日本設計プロジェクト管理部フェロー松尾和生と、建築設計群 瀬野建人へのインタビューを通して、そのアイデアと実現までの一端をご紹介します。   技術開発に1年半。各分野の知恵が集結したことで実現した外装膜 OMO7大阪 by 星野リゾートはアルミ型材と膜素材で外装をつくる日本初の建築です。膜素材の利用はドーム建築や仮設の屋根などが一般的ですが、これほどの大きな面積の鉛直面への採用には多くの挑戦がありました。 バルコニーから見た外装膜。 撮影/稲住写真工房 全体の外装面は膜材5265枚からなり、縦約900mmで長さが異なる184パターンの膜材をランダムに配置し、3層1ユニットとして繰り返すことで構成されています。 膜材パターンのユニット また、膜材には、光触媒による自浄作用、光を透過しながらも熱を遮断する特性、アルミの熱伸びに追従する伸縮性、さらに演出照明のスクリーンに適した可視光反射率を考慮し、フッ素樹脂酸化チタン光触媒膜を採用しました。光触媒の自浄作用により外装面の清掃の頻度は極めて低く抑えられます。 図版提供:太陽工業 大阪市の条例により原則、避難バルコニーの設置が定められていますが、膜と外壁の間にバルコニーを設置することで、バルコニーを目隠ししつつ、非常時における避難および救助ルートの確保、さらに通常時はメンテナンス通路と兼ねることで、常設ゴンドラの設置が不要となっています。またこの膜はバルコニー側から取り付け、足場を用いずに施工できるディテールとすることで、イニシャルコストの軽減にもなりました。 ​ 矩計図 外装膜の試験施工の様子   外装膜の技術開発には約1年半の月日がかかりました。 膜構造の屋根などは剛性が高いスチールを用いることが一般的です。そのなかで今回はアルミ材による膜の取り付けディテールにより、外装材として組み立てやすくしている点にも新しさがあります。 「スチールでは重いため躯体にも影響し、錆びやすい。今回は軽さや施工性、安全性などの理由から、初期段階でアルミを採用することを決めていました。ただ膜材の張力がアルミフレームの大きな応力へと変換されるため、アルミの大きさと張力のバランスを模索し続けました。メーカーも初の試みだったので、3社で共同して試行錯誤しつつ、技術開発に長く時間がかかりました。」(松尾) 「何度もモックアップを製作し、風洞実験、音鳴り試験、層間変位試験など様々な試験を行い強度や膜のばたつきを検証しました。 フラッタリングと呼ばれる強風によるばたつきが起きない程度の張力は必要ですが、張力をかけすぎるとリラクセーション(材料に力を加えて一定の歪みを保った場合、時間と共に応力が減少する現象)が起こり、アルミも太くなりコストも上がるため、そのバランスを取るため現場での微調整を繰り返しました。」(瀬野)​​ 現場でのモックアップ 層間変形試験の様子 アルミ製の横材には約13,000個のLED照明を配置し膜に映像を映し出します。これまでの他事例で採用されていた直接点光源による映像手法では、LEDを直接見る方法となり眩しさに問題がありました。そこで間接光によって膜へ上向きに線状照射することにより映像化するという新しい方法を生み出しました。 「膜材をイメージした時から映像を映し出すアイデアはありましたが、その時にはLEDのレンズの技術が十分でなく、実際できるかは難しいところでした。施工の現場が進む中でメーカーが新しいレンズの技術を開発し、実現が可能となったのです。面白いことができないかと総力を集結していき、デザイン、構造、電気などすべての分野がうまく融合して外装膜が実現したと言えます。」(松尾) 外装膜断面詳細図および試験点灯時の演出照明(右上写真) 日本初のアルミ材による外装膜は、意匠登録とともに、演出照明の特許登録もされています。 (意匠登録:太陽工業、 不ニサッシと共同 演出照明技術登録:トライトと共同)   新たなランドマークとともに街の未来へ馳せる想い 客室の明かりが膜越しに漏れ、行燈のように全体が柔らかく光る。 提供/OMO7大阪 by 星野リゾート   「新今宮駅はこれまで交通の要所ではあったものの、ディープな街のイメージのため通過するだけの人がほとんどでした。それが、このホテルができてから、目的地になる街へ変わってきたと思います。」(瀬野) 「あいりん地区の昔ながらの建物が並ぶ合間から、白い帆船のようなこの建築が見えると新旧の時代がこの町に共存しているのを感じます。子供が『みやぐりん』で遊んでいたり、ベビーカーを押したご夫婦が街を歩いていたりなど、かつては想像できなかった光景を目にするようになりました。また、緑豊かな『みやぐりん』のお蔭で鳥や虫も増えました。夏から秋にかけてたくさんの虫の声とともにプラットフォームの電車の音が聞こえ、都会の中にいながら不思議な感覚になります。人の流れも変わってきていますし、人々の街の捉え方も変わってきていると感じます。 今後、この建築とともに歩んでいく新今宮の街の10年後、20年後が楽しみです。」(松尾) 左:建築設計群 瀬野建人  右:プロジェクト管理部フェロー 松尾和生   特記なき撮影/日本設計 記事前編はこちら OMO7大阪 by 星野リゾート 概要はこちら  
Case Study
都市の課題解決に挑む 虎の門病院建て替え計画と再開発事業 
病院機能を継続しながら建て替えを実現 都市計画は人々にとってより豊かで快適なまちの姿を描くことです。 日本設計は創立以来、さまざまな都市計画に携わってきました。その中で培われた知見を活かし、刻々と変化する都市の課題解決に取り組んでいます。その事例の一つとして、国家公務員共済組連合会虎の門病院の建て替え計画をご紹介します。 市街地にある高度大規模病院が、老朽化や災害医療機能の強化、患者の療養環境の向上のために建て替えを望んでも、都市部では移転先の代替地を見つけることは容易ではありません。現地で建て替えを行う場合も、業務の縮小や休止が必要になり、従来の医療体制を継続させることは困難です。一方、高齢化社会では住み慣れた土地で医療サービスを受けられることが今後ますます重要になってきます。 外資系企業や大使館が多く集まる、国際色豊かなエリアに位置し、最先端の高度医療を提供する虎の門病院も、築50年以上となる施設の老朽化、十分に機能を発揮することが難しい施設構成、環状2号線の整備に伴い敷地が減少したことなどから、再整備によりこれらの課題を解決する必要がありました。 虎の門病院のような都市部の単体大規模病院における建て替えは非常に難しい事業でしたが、再開発事業に組み込むことで、病院機能を継続しながら再開発地区内で建て替えを実現しました。私たち日本設計は、2011年から本計画の基本構想と基本計画に参画。都市計画と病院施設設計のチームが一体となり計画を立案しました。 南西から見た虎の門病院。右奥の建設中の建物が業務棟 但し、再開発事業における病院の建て替え事例はまれです。それは、再開発事業の成立条件と病院の建て替えにおける要望に乖離があるためです。例えば、再開発事業においては地域貢献に必要な空地や緑地を確保するために複合一棟化することが多くありますが、一般的に病院は機能拡張などを目的とした増改築が不可欠で、単独棟を理想とします。加えて、病院側は機能拡充のため、現状からの面積増加が必須になりますが、再開発事業においては建て替え前の床面積を確保することが難しいという問題に直面します。 しかしながら本計画の場合、病院を別棟化できる敷地だったことに加え、虎の門病院の高度医療機能を都市再生特別地区における公共貢献要素として位置づけることで再開発事業としての容積増が可能となり、建て替えが実現しました。 日本設計は、事業の実現に向けて都市計画や病院施設設計といった各分野の専門家たちがチームで取り組みました。当時、医療施設設計部長だった伊藤元晴は「『再開発事業』と『病院の建て替え』はという価値を互いに理解できたことが、事業を円滑に進められた一つのポイントとなった」と振り返ります。都市計画群の志摩陽一郎も「病院の災害時対応機能を、再開発事業の計画地に建てられるオフィスと連携・拡張させることを都市計画の貢献要素としており、都市計画段階から病院の施設計画にも影響が及ぶため、それぞれのチームが協力する必要があった」と話します。 こうして私たちは計画の初期段階から各分野の知見を集結させ、3つの提案を行いました。 虎ノ門二丁目地区の建て替え計画図 虎の門病院建て替え計画における基本構想、基本計画時の体制図   病院の貢献要素を再開発事業に統合 一つ目は「国際競争力の強化」です。 虎ノ門が国際色豊かなエリアであることから、国際水準の病院として整備することで、地域の国際化に一層貢献できると考え、国際メディカルサービスセンターを計画しました。 二つ目は「大規模病院の機能更新と良好な都市基盤整備」です。 既存病院の敷地は環状2号線と赤坂・虎ノ門緑道をつなぐ重要な位置にありますが、起伏が大きく高低差があるため、安全で快適な歩行者空間が確保できていませんでした。そこで、周辺地域をつなぐ、快適で豊かな交通ネットワークを実現する方法を提案しました。日本設計は長らく赤坂・虎ノ門エリアの再開発に携わり、約850mにわたって緑でつなぐ「赤坂・虎ノ門緑道」の整備で、周辺地域と連携した緑のネットワークを推進してきました。今回の再開発地区も緑道の一画に位置しており、私たちがこれまで本エリアで培ってきた知見を反映させることができました。 そして三つ目が「防災対応力の強化と都市環境の向上」。 都内最高レベルの災害拠点として施設全体を複合的に活用する「災害時拡張ER(Emergency Room)」を提案しました。 本事業では、都市計画を提案する段階で、運営面とともに、公共貢献にも配慮した建物の規模や外形、配置計画を早期に決定しました。「都心のビジネス街に立地することから、患者とオフィスワーカーそれぞれの環境を守る施設構成を目指しました。例えば、患者さんが入院する高層部に配置した病棟エリアと、多くの外来者が訪問する低層部に配置された外来や中央診療機能を明確に分離するために中間階にスカイロビーを設け、病棟階とスカイロビーで入院生活が完結する計画としました」(ライフサイエンスプロジェクト部・本田真吾) その後、病院の設計は他社の手に委ねられましたが、基本計画段階での面積や建物高さなどは、完成時まで大きな変化はありません。外観デザインについても、基本計画段階で景観協議にて決定されたため、ほぼそのままの姿で完成に至りました。   再開発事業は現在も進行中です。2025年2月には移転前の虎の門病院の場所に日本設計・三菱地所設計共同企業体が基本設計、デザインディレクション、工事監理を担当する地上38階、地下2階の業務棟が竣工予定です。国際ビジネスセンターとして機能する業務棟には防災ヘリポートが整備されるほか、緑のネットワークを形成する広場や歩行者デッキが整備され、豊かな都市空間を創ります。 虎ノ門二丁目地区第一種再開発事業の完成イメージ。左が病院棟、右奥が業務棟 ライフサイエンスプロジェクト部長来野炎は「総合設計事務所である日本設計が、さまざまな分野で長年培ってきたものが一つの形になったプロジェクトだった」と言います。志摩は「都市部の病院建て替えは、再開発事業として取り組むことが一つの答えである可能性を示せたのではないか」と話します。 高齢化社会において、再開発事業に医療施設を取り入れる重要性がいっそう高まっています。「本プロジェクトの知見は、病院に限らず高齢者施設といったほかの施設の機能更新の際に活かせるかもしれません」と来野。日本設計は今後も都市に新たな価値を生み出し、社会に貢献してまいります。

PROJECTS

NEWS

2024.03.18
受賞ニュース
優良学校施設表彰 受賞のお知らせ
日本設計が携わった2プロジェクトが受賞しました。
2024.03.18
受賞ニュース
第6回パイロシステム ガラス防火区画デザイン・コンペ2024 受賞のお知らせ
日本設計が携わった2プロジェクトが受賞しました。
2024.02.19
受賞ニュース
JIA25年賞 受賞のお知らせ
アクロス福岡が受賞しました。
page top
RECRUIT
日本設計のチームを支えるのは
あなたの情熱と意欲です。
採用詳細ページへ